今回は茶会での食事、
点心(てんしん)の作法についてお話します。
点心の本来の意味は、定められた食事と食事との間の
一時の空腹をいやすための少量の食物のことをいいます。
禅家では昼食を指すそうです。
間食、軽食、さらには菓子の類も点心と呼ばれます。
点心の語は、一般には宋の呉曾の『能改斎漫録』で
初めて使われたようです。
日本では仁治2年 (1241)
『正法眼藏』の「心不可得」に、『碧巖録』の「且買點心喫」
(注:點心は点心の昔の綴りです。
中国では今もこの字を使いますね)を引いて、
「徳山いはく、もちひをかふて點心にすべし」とあるのが初めて使われたとされてます。
また同書「看經」に「堂裡僧を一日に幾僧と請じて、斎前に點心をおこなふ。
あるいは麺一椀、羹一杯を毎僧に行ず。
あるいは饅頭六七箇、羹一分、毎僧に行ずるなり。
饅頭これも椀にもれり。
はしをそへたり、かひをそへず。」とあります。
この中でも、麺、羊羹、饅頭などを椀に盛って箸を添えてと、
当時の点心について読み取れますね。
うーん、興味深いです。
その後も室町中期頃の国語辞典『節用集』に
「點心(テンジン) 自須達長者始也。」とあるそうです。
『籠耳草子』(貞享)に「侍は中食と云ひ、町人は晝食、
寺方は點心と云ふ」とあるそうなので、
なんとなくお坊さんだけが使った用語か?と思いますが、
點心(点心)が広く浸透していき、やがて茶道と出会うのです。
点心の語源はわかりました。
でも一般的な点心って、やはり中華料理での軽い食事や
おつまみといったものになじみがあるのは、筆者だけでしょうか。
お茶の点心とは何でしょう。
本来の茶会では懐石料理(フルコース)が供されるのですが、大寄せの茶会では
何しろ大規模のために、懐石料理を簡素化して、お弁当が出されます。
お弁当といっても侮るなかれ。
懐石料理のコンパクト版というべきか、目にも美しく季節感があって、
それぞれの季節を盛り込んだ具材を使ったお弁当を点心というのです。
きっと食べるのが惜しくなります。
「作法にこだわらずとも召し上がっていただけるので、
茶の世界を全く知らない方でも気軽に楽しんでいたくことが出来る」
と一般的に説明されていますが、やはり注意点はあります。
では点心をいただくときの作法を説明します。
いつどこで
大寄せの茶会では、
会費を支払うというより、
茶券を購入する場合がほとんどなのは、
お話したことがありますよね。
たいがい茶券の中に
点心の半券が含まれています。
点心席とよぶ食事どころで、
点心の半券を渡してお弁当を受け取る場合、
受付で茶券の半券を渡しお弁当を受け取って
点心席に入る場合が想定されます。
点心は茶席の合間にいただくものなので、
点心席で食べるのが最善ですが、
もちろんお腹が空いていなければ
持ち帰っても構いません
(持ち帰り可能な容器に
入っている場合ですよ、念のため)
席に決まりはありませんので
好きな席に座ります。
ここでのおしゃべりはOKですけど、
大声での歓談はやめましょう。
お茶や水はセルフサービスに
なっていることが多いですかね。
食べ終わったらゴミは指定の場所に入れ、
使用済みの湯飲みやコップも指定の場所に下げます。
食べるときの注意
がつがつかき込むのはだめで、
少しずつ味わいながらいただきましょう。
ただ「美味い」だけではなくて、
口の中に広がる味わい、
心にスっと沁み入る香り、
食欲を満たすために計算しつくされた
歯ごたえなど、楽しんでほしいです。
点心は「軽食」扱いですし、
懐石と同じように残さず頂くことを
目標にしてください。
残したものは持参した残菜入れなどに
入れるのが満点ですが、
多分「そのままで結構ですよ」
と言って下さると思いますから、
気負わずとも良いと思います。
席が込んでいる場合は
いつまでも席を占領せず、
速やかに食べて次の方に席を譲りましょうね。
どこにいても気配りの心で行動しましょう。
茶道に限る事ではないですけどね。
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