お湯を沸かす炭を、お客様の前で継ぐのが炭点前です。
炭点前では、適当な大きさの炭を手際よく炉・風炉につぐ必要があるので、
炭斗に炭を組む手順や要領は、各流派で決まっています。
炭斗に組む道具
炭点前に必要な道具には、炉・風炉とも、
炭、炭斗、羽箒、火箸、鐶、釜敷、香と香合です。
炉の時期には、ぬれ灰をまくため、灰器と灰さじも使います。
炭斗は藤や竹で編んだ籠のものが一般的です。
炉で使う炭の方が風炉のものより大きいため、
炭斗も炉では大ぶりのものを使います。
羽箒は、羽の軸の右の方が広いものを「右羽」といって
風炉に用います。
左の方が広い「左羽」は炉用です。
火箸は、鉄製、真鍮製などがありますが、
炉では、桑などの柄がついたものを使います。
炭の種類
茶道で使われる炭は、クヌギの木を焼いて作った硬い炭で、
種類毎に寸法が決められています。
炉用の方が、風炉用よりも少し大きめです。
「胴炭」は、一番大きな炭で、太い丸太形で、
長さは炉用で5寸(約15㎝)、4寸(約12cm)です。
「丸ぎっちょ」は丸太型、「割ぎっちょ」は丸太を半分に割った半円形で、
いずれも長さは胴炭の半分です。
「丸管」は丸太型、「割管」は半円型で、長さは胴炭と同じですが、
直径は半分程度の細い炭です。
「添炭」は、丸太型の細い炭で、胴炭の半分の長さです。
「枝炭」は、ツツジなどの細い枝で作られ、白い石灰を
塗ってあります。
炭の組み方(表千家)
表千家では、炭を縦向きに揃えて組みます。
まず、向こう側に丸ぎっちょを3本並べます。
その手前に割ぎっちょ2本と添炭を並べます。
きちんと並べると、向こう側3本と、手前側3本の炭は、
ほぼ同じ幅で並びます。
続いて、その右側に丸管、割管を1本ずつ並べます。
次に、手前側に割ぎっちょ2本と添炭を重ねてのせ、
右の丸管の上にもう1本丸管を重ねます。
そして、中央に胴炭をのせます。
最後に、枝炭の2本立てと3本立ての2本をまとめ、胴炭の右側、
丸管と割管の間に乗せ、枝先は炭斗の向こうの壁にかけて置きます。
香合を胴炭の左側に置き、火箸は香合と胴炭の間に鐶をかけて置きます。
鐶は、切れ目を合わせて、切れ目が下にくるようにかけます。
釜敷きは、右側から胴炭に立てかけて置き、
羽箒を左側、炭斗の上に置いて完成です。
炭の組み方(裏千家)
裏千家は、初炭と後炭で組み方が異なりますが、
ここでは、初炭の組み方を取り上げます。
裏千家では、炭斗に立体的に炭を組みます。
そのため、枕炭と香合台と呼ばれる炭を土台に使います。
これらは、炉・風炉の中にはつがず、最後まで炭斗に残ります。
枕炭は炭斗の奥中央に横向きに、香合台はその右下に置きます。
丸管を、中央縦向きに枕炭に端を載せて置き、その右側に同様に、
割管を置きます。
丸ぎっちょは、丸管の左側にたてかけ、その手前に割ぎっちょ、
さらにもう1つ丸ぎっちょをたてかけて置きます。
次に右側から添炭をたてかけ、丸管の上に胴炭を置きます。
枝炭を3本、炭斗の右向こう側に、枝先を上にして立てかけます。
香合は、香合台の上に乗せます。
火箸は胴炭の左側に鐶をかけて置きます。
羽箒を左側、炭斗の上に置いて完成です。
流派によって異なる炭の組み方
今回は、私がお稽古をしている表千家と、
その対比で裏千家の炭の組み方をまとめましたが、
炭の組み方は、流派によって大きく異なります。
炭斗に入れる炭の数が多く、安定感ある組み方の表千家。
炉・風炉にくべるだけの量の炭を見栄えよく組む裏千家。
それぞれの流派の考え方が、炭の組み方にも表れているようですね。
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