香合(こうごう)とは?
香合とは、お茶室で香を焚くための、
お香を入れる器のことを言います。
茶道を習いはじめたばかりの方にとっては
「単なる、飾り?」と思われる方もいるかもしれません。
日本では、遡ること飛鳥時代、仏教伝来と共に香を焚く習慣が広まり、
その後茶道の世界でも取り入れられることになりました。
茶道と香とは深い関わりがあり、
茶室に集まる人の精神、そして茶室を清める意味で使われます。
お茶を点てるためには、まずお湯を沸かす必要があり、
その際に行うのが『炭点前』と呼ばれるもので、このとき香が焚かれます。
しかし、通常のお茶会では省かれてしまうことが殆どで、
その場合、お香を入れた香合を紙釜敷(奉書紙・檀紙・美濃などを
20枚~48枚重ね、四つ折りにしたもの)に乗せ、床の間に飾ります。
香合の種類
香合の種類は、大きく分けて3つあります。
風炉用
塗り物、木地、竹などを使用。
炉用
陶磁器を使用。
陶磁器タイプは、染付(そめつけ)青磁(せいじ)・
楽焼(らくやき)国焼(くにやき)などがあります。
風炉・炉の兼用
蛤(はまぐり)などの貝類、金属製を使用。
※風炉(ふろ)は、5月~10月の夏季
風炉釜を畳の上に置く。
夏の暑さの中、少しでも熱気を感じないように、客から離れた位置に配置されます。
※炉(ろ)は、11月~4月の冬季
炉は囲炉裏に似ており、畳の一部分を切り、その部分に釜をかけるものです。
炉は、風炉とは逆に、客が少しでも暖を取れるよう、客の近くに配置されます。
香合のデザインと大きさ
香合のデザインは、私たちに身近な物が数多くあります。
少し例を挙げてみますと、動物・植物・人物・生活用品等です。
動物
干支(十二支)・亀・蛙・蝉(せみ)・象・とんぼなど
鳥
雀・鴨・鶴・鴛鴦(おしどり)など
植物
桔梗・牡丹・茄子・柚子・桜・椿など
魚介
蛤・蟹・海老など
人物
七福神・一閑人・童子など
生活用品
団扇(うちわ)・俵・誰が袖(たがそで)など
幾何学模様
円形・菱形・四方(よほう)・五角・六角・三日月・半月など
香合は、小さいものから、大きめのものまで様々です。
よって、大きさは形によってまちまちですが、
一般的に径(3~7㎝)・高さ(4~9㎝)のものが多いです。
装飾が多い場合、それに伴い径・高さも大きくなる傾向にあります。
香の種類
使われる香も、香合と同じく種類があります。
風炉用
伽羅(きゃら)・白檀(びゃくだん)
沈香(じんこう)などの、香木(こうぼく)を使います。
炉用
練香(ねりこう)と呼ばれる、
粉末状の香を練り固めたもので、少し湿っています。
※練香を貝類の香合に入れる際には、
椿の葉を敷き、香合に練香の香りが付いて劣化するのを防ぎます。
この様に、単なる小さい香合と思いきや、
その役目は非常に大きく、茶道とは切っても切れない存在です。
茶道の世界では、室町時代から取り入れられ、現在に至ります。
客に美味しいお茶を点てるのに重要とされる、
湯加減を左右する『炭点前』で炭をくべた後、香は焚かれます。
このとき、香の1つは下火の近くに、そしてもう1つは新しい炭の近くに置き、
香の香りが長持ちする工夫がされます。
香を焚くことで、身の穢(けが)れを祓い、
茶室の浄化、更には炭の匂いを和らげる役目も果たします。
また香合は、そのデザイン性の高さから、茶人だけに限らず、
一般の人でも観賞用(インテリア)として楽しんでいる方も多くいます。
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