茶道を習うことになれば、誰しもが払うことになるのが『月謝』
茶の湯の世界で礼を重んじる慣習は、
月謝を納めることにもしっかりと表れています。
他の習い事と同じ様な感覚で、
「ただ袋に入れて渡す…」とはいかないものなのです。
その様な感覚で月謝を納めたら、おそらく師事している先生から、
何かしらの指摘を受けることになるでしょう。
「じゃあ、どうやって納めるものなの?」
ということを、これから解説していきます。
月謝袋について
月謝袋についてですが、
個人で用意する場合、流派に関わらず一般的なのが、
封筒・無地の熨斗袋です。
また、先生(教室)によっては、月謝袋を先生側が用意して下さり、
それに入れて渡すこともあります。
用意して下さる場合、月謝袋は文具店などで売っている、
予め袋に『月謝袋』と明記され、
月毎に受取った証となるハンコを押せるタイプのものを
使っている先生を多く見受けます。
表書きは、御月謝と書くのが一般的です。
ご自分の名前を書く場合は、フルネームで
『御月謝』と書いた下の部分に書くのが通常です。
また、『○月分』と明記する場合には、
右肩に書くのが良いかと思われます。
新札について
お茶の世界では、
『新札』で月謝を払うことが、非常に大事です。
これは、茶の湯の世界だけに関わらず、
他の伝統芸能を習う際にも同じと言えます。
これは一言に、先生に対する『礼儀』です。
普段の私たちの生活で、
新札と出くわすことはなかなかないものです。
銀行や郵便局のATMで、新札が出てくることがありますが、
まず稀と言っていいでしょう。
新札は、銀行で用意するのが一番です。
いくら分交換するか、または使う銀行によって
手数料が発生したりする場合があるかと思いますが、
それでも新札は用意するようにしましょう。
しかし、学生さんや仕事務めをされている方にとっては、
平日銀行の空いている時間に足を運ぶのが
難しい場合もあるかと思います。
そういった場合には、家族に協力をお願いしてみたり、
それが無理であれば、せめて普段の生活の中で、
『折り目が付いてなく、キレイ目なお札』があれば、
そのお札は月謝用に別にしておきましょう。
万が一、新札で月謝を用意出来なかった場合は、
必ず先生に月謝を渡す際に、
『新札を用意することが出来ず、申し訳ございません。』
と伝え、きちんと謝罪しましょう。
黙ったまま渡しては、後で袋を開けた先生は、
決して良い気分はしないはずです。
また、細かいことですが、お金を袋に入れる際、
人物の顔が封筒の表側を向くように入れましょう。
月謝の渡し方
月謝の渡し方は、流派によって違ってくるでしょうが、
一般的に扇子を使って渡すのが主流のようです。
その場合、扇子を自分に向けた状態で開き、
月謝袋をのせ、先生に渡す際には、
正面が先生の方を向くよう、180度回して渡します。
表千家では、一昔前まで、
扇子の上に月謝袋をのせて渡していましたが、
現在では小風呂敷に包んで渡すのが正式とされています。
ですが、そのことを知らない先生方も多く、
扇子を使って渡す形式が未だ多く残っています。
ただし、小風呂敷がない場合は、扇子を使って問題ありません。
ここまで、色々と説明してきましたが、
新札を使う点を除いて、その他の『表書きの書き方』・『渡し方』については、
同じ社中の先輩方、又は先生に確認するのが最善の策と言えるでしょう。
それは、先生によって違う場合があり、
他の先生がこうされているから大丈夫…と思い、たとえその通りやったとしても、
自分の先生に「こうして下さい」と直されてしまう場合もあるからです。
事細かいと思われるかもしれませんが、
月謝の納め方一つですら、茶道を学ぶ一部と言えるでしょう。
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