茶道の稽古も進み、お茶会に出ることもかなり慣れてきた頃、
満を持して正客に選ばれた!
というのが理想です・・逆にそんな馬鹿な!と焦る人もいるかもしれませんね。
正客になるのは茶道をやっている人にとっては誉です。
正客の作法と挨拶をきちんと押さえて、堂々と役目を果たしましょう。
茶会の正客の作法 ①客付き~茶席まで
基本的に茶会では、正客のみが亭主と問答を行うので、
その役割はとても重要です。
正客の技量がお茶会の成功のカギを握っていると言っても良いでしょう。
ここでは正客が言う挨拶の代表的な例文を挙げてみます。
正客は連客に対し
連客がそろったところで、扇子を前に置いて、
「本日、正客をつとめさせていただきます○○と申します。
まだまだ未熟ものではございますが、よろしくお願いいたします」
と挨拶をします。
亭主が現れ、「どうぞおはいりください」と言いますので、主客総礼します。
そして「本日はお招きいただき、ありがとうございます」と言いましょう。
茶会の正客の作法 ②席入り後~炭点前まで
正客は「先ほどは待合でお湯をありがとうございました」 と挨拶し、
待合の掛物などを尋ね、その心入れに感謝します。
さらに本席の掛物などについて亭主に尋ねます。
正客は「本席のお掛物は」と言います。
亭主が「○○筆でございます」などど言うので
正客は「ご立派なお筆ですね。どうかお読み上げください」
と言いましょう。
亭主が「○○○と読みます。……という意味が込められております」
と言いますから
正客は「ありがとうございました。・・・・なお言葉でございますね」
というように続きます。
茶席の花にもお尋ねをします。
正客はこのように尋ねましょう。
「お見事なお花ですが、何という名前でございますか」
さらに花入れについてもお尋ねします。
「お花入のお作は」
亭主が「××作で、銘を○○と申します」とお答えがあれば
正客は「大変いいお姿でございますね。ご銘が今日のお茶会にふさわしいと感じます」
のように答えましょう。
このあと、茶事の時に出る食事を懐石といいますが、大寄せの茶会では
懐石はなく、点心(お弁当)の場合もあります。
茶事の流れと懐石での詳しい問答についてはこちらにもありますので、
是非参考にしてくださいね。
点心についてはこちらをご覧ください。
茶会の正客の作法 ③濃茶・薄茶・お菓子をいただく時
さて、いよいよ茶会のメインです。
茶道をされている人ならだいたいおわかりでしょう。
亭主は正客が濃茶を飲んだ時、「お服加減はいかがでございますか」 とたずねます。
正客は茶碗を左手に持ったまま、右手を膝前について答えます。
「たいへん結構でございます」「たいへんおいしゅうございます」
他の客が濃茶を飲んだところで、正客が亭主に尋ねます。
「ありがとうございました。大変おいしくいただきました。ところでお茶銘は」
亭主が「○○でございます」と答えるのに続き、
正客は「お詰はどちらでございますか」と聞きましょう。
亭主が「○○でございます」と答えます。
このように亭主と正客の問答が続いていき、
例えばお菓子については
「先ほどは、お菓子を大変おいしく頂戴いたしましたが、
どちらの御製でございましょうか」
と言います。
さらに道具については、釜、棚、水指、炉縁、風炉先屏風などの順
にうかがっていきます。
亭主のもてなしや趣向を、このころにはしっかり把握したうえでの会話が
茶会の広がりを促して行くのです。
末客から茶碗と古常紗が戻されると、正客はそれぞれを拝見して次客以下に回します。
正客は亭主に、窯元、作者、箱書、銘、形状などを問います。
「○×△としたお茶碗ですが、どなたのお作で」
お答えがあれば 「さすがにご立派でございます。この形も・・・だと思います」
というように会話で茶会に動きを出すようにします。
薄茶の場合は雑談に鳴らない程度に、
濃茶よりも和やかで楽しい雰囲気にしていきます。
干菓子をいただき、薄茶を客が飲んだ頃合いで正客は連客に
「皆さん、充分にいただかれましたでしょうか」 とたずねます。
連客が「充分にいただきました」と答えるので、
亭主が、もう一服いかがですか」と問うのに対し、
「充分にいただきましたので、どうぞお仕舞いください」 と言います。
さて、正客の挨拶の例文、飲み込めましたか?
機転を利かせたり、茶会の趣を広げるような会話とは、
一朝一夕でできるものではありません。
いつ正客に指名されても焦らないように、問答のシュミレーションを
普段の稽古中からしておきましょう。
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