茶会記とは、
その茶会で取り合わされている道具類一式が記されたものです。
一般的には、
亭主が毛筆でしたためた会記を席中で拝見するのですが、
最近の大寄せの茶会では、
事前に印刷されたものを配ることが多いようです。
配られた茶会記を客は持ち帰り、
自宅でその茶会を思い起こして楽しみます。
亭主は、
自分が催した茶会の記録として保存します。
さて、亭主になり、
茶会記を実際に用意することになったら、
どのように記載すればよいのでしょうか。
茶会記の書き方は流派によって少しずつ異なりますが、
ここでは表千家を基本にしてまとめてみます。
茶会記のフォーマット
正式には、
料紙(48cm×36㎝)を細長く二つ折にし、
毛筆で記載します。
最近は洋紙に印刷したものも多く使われていますが、
いずれにしても、
細長く畳んで横長に使い、
縦書きで記します。
お客様には、さらに、
二つ折か三つ折りにしたコンパクトな大きさにしてお渡しします。
道具の記載順序
(こちらの順序は表千家の書き方ですので、
実際に茶会記を作る場合は、
必ずご自分の流派の順序を確認してください。)
まずは、
折りたたんで表紙にあたる位置の中央に「会記」と記載し、
日付、茶会のタイトル、場所、主催者を記載します。
本紙部分に道具を記していきます。
基本的には道具を扱う、
または、拝見する順序で記載します。
それぞれの道具について、
重要人物の場合は作者名、
産地と形状、
銘(掛物の場合は、タイトルまたは書かれている禅語等)、
さらに書付、作者名という順に記載していきます。
まず、寄付の掛物、
飾られているものを書き、
続いて、本席の道具組を記載します。
最後に菓子と茶名も記します。
書き方例
ここでは濃茶席を例に記載します。
薄茶席の場合は、
莨盆、火入、莨入、煙管が加わります。
また、茶事で炭点前を行う際は、
炭点前の道具も記載します。
横書きですと雰囲気が出ませんので、
あくまでこの事例は参考に留めてくださいね。
(表紙)
平成27年3月XX日
○○会 春の茶会
会記
於:●●庵
(本文)
寄付
掛物 狩野○○筆 ○○○の絵
本席
掛物 ○○和尚筆横物 柳緑花紅 同箱書付
花入 ○○斎作 竹一重 銘○○ ××斎箱書付
花 ときのもの
香合 赤 ×× ○入作
釜 阿弥陀堂 ○○作
炉縁 真塗 (※風呂の季節は風呂について記載)
金砂子風呂先屏風
棚 桐木地四方棚 ○○作
水指 備前 ○○作
茶入 瀬戸肩衝
仕服 蔓牡丹金襴
茶碗 黒 △△作
茶杓 △△斎作 銘春霞 共筒
建水 砂張
蓋置 竹
菓子器 縁高
菓子 ○○ ××堂製
御茶 ○○の昔 ○○園詰
書き方の注意事項
花、炉縁、仕服、建水、
蓋置が一文字下がりで記載されるのは、
附属物という位置づけの為です。
つまり、表千家では、花入れが主で、
花は花入の付属物という位置づけということです。
(花→花入と言う順で記載して、対等に扱う流派もあります。)
基本的には、それぞれの項目毎、
産地素材→形状→作者の順で記載しますが、
作者が重要人物である場合は作者名をまず記載します。
だいたい、
御家元及びそれに準ずる方
(高僧、大名等)の手作りの場合は
項目の最初に書かれるようです。
但し、例外として、掛軸と茶杓は、
作者が誰であるかが重要視されるので、
必ず最初に作者名が書かれます。
お花は、
当日の花の開き具合で扱うものを決めることが多いため、
事前には「ときのもの」と記したり、空欄にしておきます。
本来は、
お花も記録に残すべきものなので、
できれば、当日の朝にでも加筆したいものです。
最後に
茶会記の書き方をまとめる為、
改めてこれまでに頂いた茶会記を見比べてみました。
流派によっても異なりますし、
また、同じ流派でも微妙に書き方や記載内容が異なっているようです。
おそらく、
茶会記を書いた亭主の個性や道具への思いが、
表に出てくるのでしょう。
由来なども記載されているものもあり、
「きっと、この道具が大切なのだろうな・・」と思わせる時もあります。
亭主としては、
「この道具がポイントなの」という思いを込めて茶会記を書き、
客にアピールしているのでしょう。
但し、あまり細かく書きすぎても、
押し付けがましくなりますので、
どこまで亭主の思いを茶会記に詰め込むかのさじ加減が大切です。
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