茶会で着る着物には、いくつかの決まり事があります。
数ある着物の種類から何を着るかは、
茶会の時期や茶会の趣旨によって選ぶ必要があります。
結婚式やパーティー等で着る、
艶やか過ぎる訪問着や豪華な振袖は、茶会には向きません。
それでは、茶会で着る着物の種類について、少しお話します。
着物の種類
1.色留袖
色留袖は、結婚式などのお祝いの場で着られることが多いイメージですが、
紋の数(三つ紋・一つ紋)によっては、茶会の席でも着用することが出来ます。
2.訪問着
訪問着とは、胸元や肩・袖・裾に絵柄が書かれています。
絵羽模様(えばもよう)といって、着物を広げたときに、
絵柄が一枚の屏風の様につながっています。
茶席では一つ紋を入れ、品のある色味、そして古典柄を選びます。
3.付下げ
訪問着と少し似ていて、袖や裾の部分に絵柄が入っています。
訪問着との違いは絵羽模様になっていないことですが、
近年の仕立ての技術で、訪問着と見分けが付きにくい
付下げも数多く見られるようになりました。
茶席では一つ紋を入れ、古典柄を選びます。
4.色無地
色無地は、地紋(じもん)はありますが、柄のない一色染めの着物です。
茶会で最も無難な着物になり、茶会用にはじめて着物を作る方には、
色無地がいちばんのおすすめになります。
また、色無地は一つ紋を入れることによって、略礼装として着ることが出来ます。
※地紋とは、織り方や糸使いによって織り出された模様のこと。
5.江戸小紋
江戸小紋は、非常に小さな柄が型染めされていて、遠目では無地に見えてしまうほどです。
江戸時代に、武士の裃(かみしも)が発祥であり一つ紋を入れると、格式の高い扱いとなります。
※裃とは、江戸時代の武士の公服、庶民の礼服として用いられたもの。
6.小紋
小紋は、全体に同じ柄が散りばめられたものが多いです。
格としては、非常にカジュアルな扱いになります。
これら6つの着物の格は、1の色留袖が一番格上になり、
順に2⇒3⇒4⇒5⇒6と格は下がっていきます。
着物と季節
洋服を着るときに、季節が左右するように、
着物にも夏服・合服・冬服といったようなものがあります。
地域によって、寒さや暑さが始まる次期や終わる時期が違ってきますので、
下記を参考に着るタイプの着物を選ばれると良いかと思います。
袷(あわせ)
袷の着物には裏地が付いていて温かく、10月~5月に着ます。
単衣(ひとえ)
単衣の着物は、透けない生地で裏地を付けていない、
一枚仕立ての着物で、5月~6月に着ます。
絽(ろ)・紗(しゃ)
透ける生地で仕立てられており、裏地は付いていません。
夏場の一番暑い時期、7月~8月に着ます。
着物と帯
着物によって、締める帯も違ってきます。
ここでは、一般的な着物と帯の組み合わせを紹介します。
◎色留袖+袋帯
◎訪問着+袋帯
◎付下げ+袋帯
◎色無地+袋帯・名古屋帯
◎江戸小紋+袋帯・名古屋帯
◎小紋+織の名古屋帯
どの茶会に、どの着物が向いている?
茶会といっても、少し改まった茶会から、大寄せの茶会まで色々あり、
趣旨によって着るべき着物も変わってきます。
茶事・利休忌など
色留袖・訪問着・紋入りの色無地
非常に改まった茶会では、紋付きの着物を中心にきます。
月釜・記念茶事・初釜茶会・点心付き茶会
訪問着・付下げ・色無地・江戸小紋・小紋
華やかな装いにしつつも、茶会の主催者側と
間違われることのないように、控え目のものを選ぶようにします。
野点・立礼・稽古茶事
色無地・江戸小紋・小紋
あまりかしこまる必要はなく、気軽な装いのもので大丈夫です。
この様に、茶会での着物選びは、茶会が催される時期や、
茶会の種類によって違ってきます。
そして、茶会で選ぶ着物は、亭主のもてなしの邪魔にならないよう、
着物が主張しすぎないように気を付けなければなりません。
また着物を着る際には、道具を傷付けないよう、アクセサリーは全て外します。
同じ様に爪も、短く切り揃えておき、マニキュアなどは落としておきます。
髪の毛が襟にかかる長さの方は、すっきりとまとめ髪にします。
この際、髪飾りは使わないようにします。
化粧も、派手になりすぎることは避け、
お茶を飲むことを考え、口紅は落ちにくいタイプのものを使うか、
ティッシュオフするなどして、茶碗に口紅が付かないようにします。
そして、香水はお茶席では邪魔となりますので、控えるようにしましょう。
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