抹茶を飲むだけなら、
茶碗に抹茶を入れて、電動ポットからお湯を入れて、
茶筅(ちゃしゃく)でしゃぶしゃぶしても問題ありませんが、
前回もお話したとおり、点前(てまえ)を知る事は
抹茶を飲むだけでなくて、茶道に触れることができます。
今日は表千家で、大寄席(おおよせ)で薄茶をいただくことを想定した
お茶の飲み方についてお話したいと思います。
薄茶と濃茶がある
冒頭で「薄茶」という単語を唐突に登場させましたが、
茶道の点前には、薄茶と濃茶があります。
お菓子をいただく→お茶をいただく→茶碗の拝見というのは、
どちらの点前も大筋の流れは同じです。
薄茶は「お茶を点てる」、濃茶は「お茶を練る」といいます。
もちろん薄茶と濃茶では、使う抹茶も通常違いますし、
お客人にお茶を出すまでの手順、道具だても異なります。
濃茶の点前は格調が高いとされ、薄茶は比較的気軽な点前となります。
「茶道のお茶」というとまず皆さんが思い描くのは
通常薄茶の点前だと思います。
茶席で座る場所と注意事項
茶席では座る順序があります。
一番亭主に近い場所に座るのが主賓である
正客(しょうきゃく)で、以下次客、三客と続き、最後に座るのはお詰めです。
お茶席では正客とお詰めが、重要な役割を持ち、
特に正客は亭主を助け、お茶会をリードする役割を持ちます
(詳しいことは別の機会にお話します)
正客、お詰めは亭主からあらかじめ依頼されます。
茶席では腕時計や、チェーンが長いネックレスやスカーフは外しましょう。
高価な茶碗を傷つけたり、倒したりしないためにです。
懐紙を持参しましょう。
お菓子をのせる、手を拭くために必要です。
最初は作法を難しく考えずに、
基本的には自分より上座に座った方の所作を見て、同じ事をすればいいと思います。
大寄席の場合には、亭主のアシスタントである、半東(はんとう)がお菓子やお茶、
拝見する道具を運んでくれるので、客人が自ら動く必要はありません。
まず干菓子が供されます
薄茶のお菓子は、通常干菓子です。
菓子器が上座から回ってきて、自分の上座と自分との間におかれたら、
菓子器を自分の次の客の方との間に移動し「お先に」のお辞儀をし、
「いただいて」から(いただくとはそのまま少しだけ茶碗を持ち上げながら頭を少し下げる所作。
この場合はお菓子をいただく感謝の意)、
自分の前に菓子器をおき、亭主、半東に向かって「頂戴します」のお辞儀をします。
懐紙を出し、折り目が手前になるようにし、
一番外側の懐紙を上に折り返したのち、菓子を取ります。
2種類あれば、向こう側におかれたものから、各一つ取ります。
菓子器を自分の次の客との間においたあと、菓子を食べます。
お茶の飲み方
- 自分の前に薄茶が持って来られて置かれたら、
半東に対してお辞儀します。
- 自分の正面の畳へり外に置かれている
お茶碗を右手で持って、畳のへり内の、
自分と上座の客の間に置き「もう一服いかがですか」
と言ってお辞儀をします。
- 自分と次の客との間(畳へり中)に茶碗をおいて
「お先に」と言ってお辞儀をします。
- 自分の正面(畳へり中)に茶碗を置き、
亭主と半東に向かって「お点前頂戴致します」
と言いお辞儀をします。
- 右手で茶碗を取って、左手にのせ、
いただいてから、茶碗の正面から飲み口をずらす為、
時計回りに2回左手の上でお茶碗を回します。
抹茶の温度や量にもよりますが、
3~4口で飲みきり、飲み終わったことを表すため、
最後に「ずずっ」と音を立ててすすります
(「吸いきり」といいます)
- 茶碗を畳に置いて、飲み口を指先でぬぐいます。
ぬぐった指先は懐紙で拭き取ります。
- 茶碗の正面を元に戻すため、
先ほどとは逆回りに2回左手の上で回し、
畳のへり中、自分の正面に茶碗を置きます。
茶碗の拝見と返却
- 右手で茶碗を畳のへり外に置きます
- 両手のひらを畳について、上から茶碗全体の景色を見ます。
膝に肘をつきながら両手に持って、横や裏などを見ます。
茶碗はあまり畳から高いところに持ち上げすぎないようにします。
- 全体を見終わったら再びへり外に置き、
最後にもう一度両手の平を畳について上から見ます。
右手で持って左手にのせ、左手の上で2回まわして
相手側に正面が来るようにしておきます。
- 相手側に正面を向けて茶碗をおくと、半東が下げに来ます。
半東のお辞儀をするタイミングに合わせてお辞儀をします。
ともかく難しく考えないで、経験しましょう。
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