今回は気軽に参加できる大寄せの茶会にお呼ばれするとき、
特に薄茶席の作法についてお話したいと思います。
食事(点心)の作法については
別の機会としますのでご了承のほどを。
1) 茶席に入る前の準備
茶席に入る前の控え室である寄付(よりつき)で準備します。
大寄せの茶会の場合、茶席が行われる隣室が寄付として使用されます。
荷物を風呂敷でひとまとめにして邪魔にならないところに置き、
席入りの順番が来るまで待ちます。
クロークが用意されている場合は寄付に入る前にまとめた荷物を預けます。
茶道具が寄付に飾られている場合には拝見します。
寄付にいる間に、正客(しょうきゃく)が選ばれます。
正客とは主賓のことで、一番上座に座ります。
茶席では本来正客しか会話をすることができません。
正客には豊富な知識と会話力が求められますので、
初心者は正客を辞退しましょう。
客で次に重要なのは、字客(じきゃく)で正客の次に座る方です。
必要に応じて正客をアシストする立場です。
最後に座る末客(まっきゃく)も重要な役割です。
お詰めとも言います。
茶会が円滑に動くためには末客の手腕にかかります。
2) いよいよ席入り
準備が済むと茶室に入るよう案内されます。
正客が一番に入ります。
本来ならば入り口で膝前に扇子を置き一礼してから
躙(にじ)って入り、
次に床前、点前座と進み、道具を拝見するのですが、
大寄せの茶会の場合は人数が多いので、全員が拝見を省略する場合もあります。
前の方に従えば間違いないでしょう。
煙草盆が置かれている席が正客の席です。
皆が座ると正客が皆に挨拶しますので、持っていれば扇子を膝前に
要を右にして置き挨拶を受けましょう。
挨拶が終わったら扇子は後ろの縁内に、正客以外は要を左に向けて置きます。
茶席に入ったら客同士のおしゃべりは厳禁です。
3) お手前開始、まずはお菓子
点前をする人(お点前さん)が茶器、茶碗を持って
茶道口に座り一礼するので、客も一緒に礼(総礼)をします。
その後半東が席に入って、お点前さんの後ろに座ります。
点前が始まると水屋からお運びの人がお菓子を運んできて、
頃合いをみて席主(亭主)の登場です。
席主から促されたら正客から順にお菓子を取ります。
薄茶のときは干菓子が出されるのが一般的ですが、
大寄せの茶会の場合は主菓子が出されることもあります。
上座の客がお菓子を取っている間に、
下座の客へ次礼をしておくことは、以前お話しました。
上座の客との間の縁外に菓子器が置かれますから
両手で菓子器を持ち上げ、戴いてから自分の正面に移動します。
懐紙を束ごと取り出して膝前に置きます。
菓子器に左手を添え、手前の取りやすい位置の菓子を取ります。
このとき左手も同時に懐紙の方に移動します。
懐紙の端で指を拭いてから、菓子器を両手で持ち上げ、
下座の客との間の縁外に送ります。
全ての客にお菓子が行き渡り
正客が「頂戴します」の礼をしたら
「お相伴します」の礼をして、お菓子を食べます。
正客より先にお菓子を食べてはダメです!
干菓子は手で食べてよいですが、
大きくて一口で入らないものは
割ってから「のんびり食べないように」します。
お茶を運ぶ事ができずお運びさんが困りますので。
4) 抹茶をいただく
お点前さんが茶を点てるのは一般的に字客までで、
三客以下の連客には水屋で点てたものが供されます。
半東またはお運びさんがお茶を膝前に置き一礼するので、受礼します。
上座の客の間、縁内に茶碗を入れ挨拶し、
下座の客の間において挨拶をした後、
右手で茶碗を取り左手の掌に乗せ、
軽く戴いた後、茶碗を右手で時計回りに二度回しお茶を飲みます。
3-4口で飲みきり、最後は音を立てて吸い切ります。
右手人差し指と親指で左から右へ
一の字を書くように飲み口を拭き、指を懐紙の端でふきます。
茶碗の正面が元に戻るよう、反時計回りに2度回してから
右手で茶碗を自分の前に置き茶碗を拝見します。
両手をついて茶碗全体を拝見し、次に茶碗を手に取り肘を膝にのせ、
茶碗を高く持ち上げないように細部を拝見します。
もう一度両手をついて全体を拝見した後、
茶碗を左手の掌にのせ、右手で時計回りに2度回し縁外に置きます。
それが「返します」の合図です。
お運びさんが下げに来たら礼をしましょう。
5) 道具の拝見
お客が全員お茶を飲み終わるころには
お点前も終わり、お点前さんが茶道口に下がり座るので総礼をします。
続いて席主から終わりの挨拶がありますのでそれを受けます。
席主から拝見を促されますので茶道具の拝見になります。
大寄せの茶会の場合は大人数なので
さくっと拝見し速やかに次の方へ場所を譲りましょう。
一通り拝見したら席主や連客にお礼を言って退席します。
大寄せの茶会の場合、躙(にじ)っての退席は
時間短縮のために省略することが多いです。
6) 終了です
寄付に戻り身支度を整えて
会場を出ましょう。お疲れ様でした。
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