夏に入ると、様々な夏ならではのお点前が登場します。
一年ぶりのお点前にとまどいながらも、
季節ならではのお点前を楽しんでいます。
梶の葉や芋の葉、桐の葉などを用いて
水差しの蓋に見立てる、葉蓋のお点前。
朝早く汲んだ名水を釣瓶水差にて行う、名水点。
点前の途中で茶巾を絞りその音を聞かせて涼を呼ぶ、洗い茶巾。
どれも涼しげな季節感あふれるお点前ですね。
そんなお点前で茶会を開けば、
暑い夏にもほっと暑さをしのげそうですが、
ただでさえ汗が流れる夏の茶会には、
いったいどんな装いで行けばいいのでしょうか。
初夏 6月
夏の始まり、6月頃といえば単衣の着物です。
10月から5月までの袷から裏地の部分をはずした、
表生地のみの着物で、合わせに比べると、
ぐっと軽く涼しくなります。
6月頃のお茶会なら、お茶会の格に合わせて、
小紋、色無地、附け下げ、訪問着の単衣、
帯は綴れや芯の入っていない帯、
透け感の少ない絽の帯が素敵だと思います。
ただ、絽の帯を締める時期は、
関西と関東でも違うようですので、
地域によってもお着物のTPOが異なるのかもしれませんね。
盛夏 7月、8月
7月、8月の盛夏であれば、
絽、紗、羅の着物と帯でしょうか。
薄い水色や薄鼠色の涼しげな着物に、
流水柄の帯など見ていて本当にうっとりします。
暑くても涼しげに着物を着ている女性は、
同じ女性の目から見ても惚れ惚れします。
夏は暑さのあまり、ついつい着物を敬遠してしまいますが、
現代では涼くなる新素材で作った肌襦袢や
長襦袢がありますので、見えない部分で涼しさを
サポートしてもいいですね。
紬や麻は着てもいい?
通常のお茶会では、夏であっても、
麻、浴衣、紬のお着物は正絹でもNGです。
今では高価になりましたが、
麻や紬はかつては庶民の日常着であり、
作業着でもありました。
今で言うと、ジーンズのような感覚です。
茶道がかつて神様に差し上げるものであった成り立ち、
また、ご亭主が心をこめて用意されたお道具に対し、
敬意を持った普段着以上の装い、
肌を露出しない格好がふさわしいのではないでしょうか。
また、硬い繊維の紬は、
畳を傷めるから向かないのだという説もありますが、
社中によっては、お稽古であれば、
お点前によっては紬、麻もOKというところもあります。
麻が素敵な朝茶事
基本的には、お茶会やお茶事で
麻や綿のお着物は避けますが、例外もあります。
夏のお茶事である朝茶事は、
涼しげで気張らない装いがふさわしいので、
麻や綿のお着物で行くことができます。
朝茶事は参加したことがないのですが、
ぜひ行ってみたいお茶事です。
ただ、朝茶事も訪問着で行かれる
というかたもいらっしゃるので、
その会の皆様のお考えに合わせるのが一番だと思います。
晩夏 9月
9月といっても、まだまだ暑くて着物を敬遠してしまいます。
この時期は、どんなに暑くても、お茶会の着物は単衣になります。
帯も夏帯ではなくなります。
日常のお出掛けであれば、
まだ夏の装いのかたもいらっしゃいますが、
お茶は少し厳格かもしれません。
絽の帯は、締めても
9月の1週目くらいでやめておいたほうが無難です。
ヘアスタイル
夏の暑い時期は、洋服でも和服でも
ヘアスタイルはアップが一番ですね!
着物でも、ヘアゴムで束ねるだけの方もいらっしゃいますが、
髪の毛が中途半端に顔にかかる姿は
あまり格好の良いものではありません。
長い髪の毛は後ろでひとつにヘアゴムでまとめた後、
二つ網か三つ網にしてくるくるとゴムの周りにまいて
Uピンで留めていけば、すっきりとしたまとめ髪になります。
中途半端におちてくるサイドの髪の毛は、
ヘアワックスやスタイリング剤で落ちないように
撫で付けでれ出来上がりです。
顔と耳、うなじを全部見せるように気をつければ、
上品で涼しげな印象になります。
茶道を習い始めた時、先生が夏の暑い最中
着ていた紺色の絽の色無地を、とても美しいと思いました。
なんの変哲もない紺の色無地でしたが、
絽の紺色着物の下に、着ている襦袢の白が透かし見えて、
その様子がなんとも品があり美しく思えたのです。
その後、着物を着るようになり、
紺の絽の色無地を購入したのは言うまでもありません。
夏の暑い時こそ、お気に入りの着物を着て、
颯爽とお茶会に出かけて見ましょう!
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