抹茶の美味しさを、より味わい深いものにするためのもの、
それがお茶菓子。
茶道の世界では、
このお茶菓子が『干菓子』と『主菓子』の二種類に分かれます。
本来、主菓子は濃茶の前に頂くもので、
薄茶と比べ苦味のある濃茶を頂くために、甘みが干菓子よりも強く、
濃茶を飲んだ後にも、甘みが口の中に残るように
計算された上で作られています。
主菓子の種類について
主菓子にはいくつかの種類があります。
上生菓子
上生菓子は、和菓子を代表する
最も格の高い和菓子のことを言います。
茶道の茶菓子の中で、
最も頻繁に使われるお菓子になります。
代表的なものは、練りきり・きんとんなど。
※『練りきり』とは、白餡に求肥などをつなぎとして混ぜ、練り上げたもの。
この練きりとは別に、『薯蕷練りきり』と言って、
山芋(やまと芋・自然薯・長芋・つくね芋など)を蒸して裏ごしし、
それに砂糖を加え練り上げたものもあります。
練りきりは通常そのまま使われ、
木型やヘラ、手を使って様々な形に仕上げます。
また、着色し様々な彩を表現し、和菓子を作り上げます。
薯蕷練りきりは、そのまま使用したり、
練りきりのつなぎとして加わられたりします。
薯蕷練りきりは、粘りが強い山芋を使うため、火が通りにくく、
焦げやすいなど、作るまでに非常に手間を要するものです。
※『きんとん』とは、餡玉などを芯とし、
ざるなどで裏ごしした餡をそぼろ状にして、
様々な形を成形していきます。
ざるの大きさによって、色々な太さを作りだし、
表現したい和菓子を細かく作り出します。
朝生菓子
朝生菓子とは、普段私たちが一般的に口にする
「和菓子」がこれにあたります。
字の通り、早朝に作り上げ、その日のうちに売り切ってしまうものです。
代表的なものは、餅菓子(大福・柏餅・桜餅)
蒸し物(饅頭)、焼き物(調布・若鮎)などです。
※『調布・若鮎』とは、薄く焼いた皮(どら焼きの皮を薄くしたような感じです)
に、柔らかい求肥を包み込んだものです。
上生菓子、そして朝生菓子は水分量が30%~40%以上のものですので、
日持ちがせず、その日の内に食べ切ってしまうのが原則です。
万が一、その日の内に食べることが出来ない場合は、小分けにして密閉容器や
冷凍用の袋に入れ、冷凍保存します。
食べる際には、1~2時間(季節や気温によりますが)
前に常温で解凍すれば、美味しく頂くことが出来ます。
ただし、一度解凍したものを、再冷凍することは避けましょう。
水もの菓子
暑い夏場によく用いられるお菓子で、寒天や葛・ゼリーを使い、
清涼感溢れる、口触りのツルンとしたお菓子です。
透き通った寒天などの中に、金魚などの羊羹を
形取ったものを浮かべたり、果物を入れたりもします。
和菓子は、非常に繊細なものです。
日々同じ菓子を作るにも、気温や湿度によって、
微妙に使用する原材料の配合を変えたりと、神経を使うものです。
これらを見極めるのには、長年の経験と知識がものを言い、
同じ味わいの菓子一つ作るのは、決して簡単なものではなく、
職人の技が成せることなのです。
和菓子には、職人の技が光るものです。
それが『手形もの』と呼ばれ、補助的な竹のへらなどは使用しますが、
和菓子職人の手のみで、和菓子を形作っていくのです。
和菓子職人は、他の作り手職人と同じく、
それぞれの個性が菓子に反映されます。
同じ銘の和菓子でも、お店によって、
職人によって微妙な形や雰囲気が違ってくるものです。
そういった意味では、同じ菓子を違うお店で買い歩いて、
その違いを楽しんだり、自分の好みのものを探すのも楽しいかもしれません。
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