茶道の楽しみの1つ、それはお菓子。
美味しいだけでなく、お茶菓子は季節を感じさせてくれるものであり、
繊細で非常に美しいものです。
ただ、お点前同様、やはりお菓子を頂く際には、
作法を知っている必要があります。
目の前にあるお菓子をただ取って食べる…
というわけにはいかないのが、茶道のお菓子です。
これから、分かりやすくその作法についてお話します。
お茶菓子の種類
お茶菓子には、主菓子(おもがし)
と呼ばれるものと、干菓子(ひがし)
と呼ばれる2種類のお菓子があります。
通常、正式なお茶席では、
濃茶席で主菓子、薄茶席で干菓子が振る舞われますが、
普段のお稽古場では、両方が振る舞われることが多くあります。
また、薄茶席のみの茶会の場合、主菓子が出されます。
お茶菓子が運ばれて来たら簡単な流れとして説明すると、
お茶会ではお点前がはじまって間もなく、
茶筅通しの頃にお菓子が正客の前に運ばれてきます。
※茶筅通し:お茶を点てる前に茶碗に湯を入れ、
茶筅をやわらげ、更に茶筅の穂先が
折れていないか確かめる動作のこと。
亭主から『どうぞ、お菓子をお取り下さい』
との言葉があった後、お菓子を取ることになります。
そして、お菓子を頂くのは、正客から『頂きましょう』
と一言あった後、口にします。
主菓子の取り方
流派によって、細かい手順や作法が違う場合がありますが、
ここでは「表千家」のお菓子の取り方について説明します。
主菓子(蓋ナシの菓子器の場合)
1.
菓子器が客の前に運ばれて来たら、亭主側から一礼があります。
客はこれを受けて、一礼します。
2.
菓子器を両手で取り、畳の縁外、自分と次の客との間に置き、
軽く手をついてお辞儀をしながら『お先に』と次礼(挨拶)します。
※ただし、二人目以降の客は、
菓子器を動かす必要はなく、
『お先に』の次礼だけをします。
3.
次礼をしたら、自分の正面縁外に菓子器を戻し、
亭主に『頂戴致します』との一礼をします。
4.
懐紙を膝前に置き(折り目は手前)、
左手を菓子器に添え、箸を使って菓子を取り懐紙に乗せます。
5.
菓子を取り終えたら、箸の先を懐紙の右肩で清め、
菓子器に箸を戻します。
6.
次の客に菓子器を渡します
(菓子器は畳縁外、自分と次の客との間に置きます)
7.
最後のお菓子を取った場合、
菓子器の正面を右回しで変え、亭主に返すようにします。
干菓子の場合
干菓子の取り方も、手順1~3と6~7は
主菓子の場合と同じです。
※ただし、主菓子に続いて
干菓子が出される席では、次礼は略されます。
主菓子の取り方と違う点は、以下の通りになります。
・干菓子器に左手を添え、右手で干菓子を取ります。
・干菓子を取り終えたら、右手を懐紙の右肩で清めます。
干菓子では、箸を使わず手を使うので、
その点だけが違ってきます。
お菓子の頂き方
干菓子の頂き方に関しては、
手を使って食べ、手が汚れた際には懐紙で拭います。
主菓子の場合、菓子切り(楊枝)
を使って、食べやすい大きさに切って食べます。
3~4等分にして食べるのが、基本とされています。
しかし、饅頭の場合は、菓子切りを使わず手で割って食べます。
主菓子、干菓子共に、お菓子は懐紙ごと
ある程度の高さ(胸元の辺り)まで持ち上げて、頂きます。
また万が一、食べ切れない場合は、懐紙に包んで持ち帰ります。
先で述べた様に、細かい作法は流派によって
違う部分がありますが、どの流派においても、
次の客に対しての次礼『お先に』という挨拶や、
使った箸を清める作法などは同じです。
その点を頭に入れておけば、
もし違う流派のお茶会に行く機会があった場合でも、
細かい作法の違いを気にする必要はないでしょう。
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