茶筅作りまでの道
茶筅はあまり脚光を浴びませんが
じっくりと見たことはありますか?
茶筅をじっくりと眺めてみると、
とてもエレガントで見れば見るほど綺麗に見えてきます。
私の一番のお気に入りは茶筅です。
茶道に興味を持ち始めてから、お茶碗を作るために
陶芸をしてみたりすることはありましたが、
茶筅って手作りできるのかな?
そんな疑問から
奈良の高山茶筅を作っている地域にたどりつきました。
どうやら、茶筅製作体験ができるとのことなので、
訪ねて見ることにしました。
近鉄けいはんな線の学研北生駒駅で降りて
バスで15分ほどで高山地域に到着しましたが、
田園とかわいいバス停があり、竹林も見えます。
風情のある田舎町に茶筅の看板が所々にありました。
歩くほど10分、私が訪ねたのは翠華園の谷村弥三郎さんの御宅です。
御宅のお庭には大きな茶筅が飾ってありました。
高山茶筅ができるまで
高山茶筅の製作工程は、
原竹(げんちく):
冬に切り出された2、3年生の淡竹を切断する。
片木(へぎ) :
節の上半分位から先方の表皮をむく。
そして、大割包丁で半分ずつに割って16割にする。
小割(こわり) :
16割の1片を大小交互に割る。
味削り(あじけずり):
穂先の部分を湯に浸し、
身の方を根元から先になるほど薄くなるように削る。
面取り(めんとり):
削り上がった茶筅の上がり穂を1本ずつ、
本質の穂の両角を少し削って角をとる。
下編・上編(したあみ・うああみ):
折り上げ糸で編んで行く。
腰並べ(こしならべ):
茶筅の大きさをきめる。
仕上げ(しあげ):
穂先の乱れを直し、形を整える。
このように8つの工程で作られます。
私が体験したのは、下編上編の部分と仕上げの部分です。
編みをする部分は、全部で3周します。
1周半はすでに作ってもらっているので、続けて編むだけです。
最初は糸が通らずどうなるかと思いましたが、
だんだんと無心になって手際良く進められるようになりました。
仕上げの部分は、一見簡単なようにみえますが、
とても難しかったです。
竹がどのような性質を持っているのか、
肌で感じるから整えることができるのだなぁと作る体験を通して感じました。
仕上げがあるだけで、茶筅の美しさが増倍します。
茶筅の製作で体験できた部分は
最後の少しだけでしたが、一度製作に関わってみるだけで、
茶筅の見所だったり、道具を大切にする心だったりが身につきました。
体験することの良さですね。
高山茶筅ってどんな茶筅?
高山茶筅は、室町時代に産まれた茶筅です。
きっかけは、茶筅の祖である奈良称名寺の住職である村田珠光が、
茶の葉を粉末にして飲むことを考案し、親交のあった宗砌に依頼し、
苦心を重ねて出来上がったようです。
この高山茶筅は、一子相伝にて技を伝え続けいて、
歴史的にもとても深い茶筅です。
様々な流派に寄り添って、それぞれの流派に合った茶筅を
一つ一つ作ってきたそうです。
オーダーメイドの茶筅だったんですね。
技術的なポイントととしては、
製作工程でいうと”味削り”のところです。
”味削り”という名前がついているくらいですので、
この工程の技量の違いでお茶の味が変わるとも言われているようです。
最後は高山茶筅でお茶を頂きました
歴史的にも深い茶筅製作を谷村弥三郎先生から直接教わり
創り上げた後は、素敵な茶室にてお抹茶と上菓子を頂きました。
もちろん茶筅は、高山茶筅です。
なんとなく、いつもより美味しいと思ったのは気のせいでしょうか。
茶筅の製作工程を振り返りながら、お茶を頂きました。
茶筅をただ製作するだけではなく、
プロフェッショナルの方と会話しながら過ごすことも体験の魅力の一つです。
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