さて問題です。
「水指」読めますか?
「みずさし」と読みます。
茶道具の名称や茶道の用語はよみがなが必要なものが多いです。
ここでひるまないでくださいね。
素朴な疑問ですが、
「みずさし」なら、
なぜに「水差し」ではないでしょう。
あ、いい気づきですね。
水指は「水差」という別表記がある他に、
「水器」と呼ばれる事もあります。
水指ってどんなお道具?
水指とは、茶道の点前で、茶釜に水を足す、
茶碗や茶筅を洗う水を入れておくための器です。
陶磁器製のものが多いですが、
曲げ物、塗り物など木工品(竹製のものも)や金物などの場合もあります。
水指には蓋があります。
陶磁器の水指で、
蓋が同じ場合(同じ焼き物で作られている)は、
蓋を共蓋(ともぶた)と呼び、
別に塗り物の蓋が使われている場合には、
塗蓋(ぬりぶた)と呼びます。
最初から水指として作られているものは、まず共蓋がありますが、
本来別の用途でつくられた陶磁器(壺や花入など)を、
水指に「見立て」る場合には、蓋がないことが多いので、
その場合にはほぼ100%塗蓋が使われます。
見立てという言葉の意味は、
「物を本来のあるべき姿ではなく、
別の物として見る」という物の見方で、
本来は漢詩や和歌の技法からきた文芸の用語なのです。
利休は、この文芸の精神であった見立ての心を大いに生かして、
日常の生活用品を茶道具に採り入れたとのことです。
この見立ての心が、
今日でも伝統工芸や伝統を活性化させることもありますね。
水指の種類について
水指の多くは円筒形ですが、
用途、季節それと使う棚によっては、
違う形のこともあります。
違う形の例として、平水指と細水指をあげたいと思います。
1)平水指(ひらみずさし)
一言でいえば、夏を涼しく楽しむための水指です。
涼しいで連想するのは何?
といえば、海やプールの「水」ですよね。
平水指は通常の水指より大振りで口が大きく深さのない形です。
それを使って客に水面が見える工夫をします。
具体的には、平水指の蓋を亭主が開けた時に、
客になみなみと張った水がちらりと見えるのですが、
これがとても涼しげな景色なのです。
平水指の素材は青磁・染付・唐銅など様々で、
透明感のあるガラス製のものを使うこともあります。
水指として作られたものでなくても、
大振りの鉢を使って平水指に見立てることもできます。
ガラス製の平水指に日光があたって
中の水がキラキラ輝く様子を眺めるのもとても楽しいです。
茶道ならではの夏の「ご馳走」です。
平水指は口が大きいので当然蓋も大きくなります。
通常の水指は蓋を開けたら水指にたてかけますが、
平水指の際は、蓋が大きいので、(例外はありますが)、
割り蓋といって、半分に蓋を分けて蝶番で繋ぎ、
半分だけ開けるようになっているものがあります。
これもまた見事な工夫です。なんてセンスがいいのでしょうか。
2)細水指(ほそみずさし)
茶道では11月から4月までは炉を使い、
5月から10月は風炉を使います。
寒い時期は炉が暖を取りやすく、
暑い時期は風炉で涼しげにというわけで、
炉の点前、風炉の点前があるのは容易に想像ができますね。
加えて10月の一ヶ月だけ行う点前である中置 (なかおき)があるのです。
なぜに一ヶ月だけ違う点前をするのか不思議ですよね。
中置について解説します
中置とは、依然風炉を使いますが、
肌寒いときもあるので、
少しでも客に暖を取ってもらうために、
風炉を客側に寄せた点前です。
現代では10月でもエアコンが必要な年もあるので、
今一歩ピンとこないかもしれませんが、
これもまた気配りです。
その中置で使う水指は、
一般的に細水指(ほそみずさし)です。
通常より狭いスペースに水指をおく必要があるため、
縦長でひょろっとした細い水指が使われるのです。
素材は暖かみのある陶磁器のことが多いですね。も
ちろんガラス製のものなどは使いません。
初冬にガラスでは寒々しいですからね。
ちなみに中置での水指の置き方
(置く向きというべきか)は通常とは少し違います。
中置の点前について語る機会があれば、詳しくお話したいと思います。
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