風呂先屏風はご存知でしょうか?
文字通り、風呂を置く位置の先(奥側)に
配置している二つ折りの屏風のことです。
風呂先屏風という名前ですが、
炉の季節でも使います。
ただし、風呂先屏風は、
どのような茶室でも使っていいというものではありません。
そこで、
風呂先屏風の使い方をまとめてみようと思います。
風呂先屏風を使う場合
風呂先屏風は、広間のお点前で使用します。
広間とは、四畳半以上の広さの部屋のことです。
風呂先屏風を置くことで、
点前座の区切りが明確になります。
大寄せの茶会で何十畳もあるような大きな広間に通されると、
席入りした瞬間に
「どちらに座ればいいの?」と思うことがあります。
そのような時に、風呂先屏風を見つければ、
点前の位置がすぐにわかるというわけです。
点前座の側面と前面が壁の場合は、
広間でも必ずしも屏風を置く必要はないと言われていますが、
アクセントとして部屋全体を引き締める効果を期待して、
あえて屏風を使うことも多いようです。
さらに、風呂先屏風は、
道具を引き立てる「背景」になります。
多種多様な風呂先屏風がありますが、
前に置く棚、水差しや茶碗が映えるような、
落ち着いた絵柄や薄い色合いのものが多いように感じます。
風呂先屏風を使わない場合
小間の茶室では使用しません。
四畳半の茶室は、広間にも小間にも位置づけられるので、
風呂先屏風を使っても、使わなくてもよいということになります。
ただし、四畳半でも、
風呂先の位置に明かり取りの
小窓が開いている間取りの茶室では、
折角の明かりを遮ることになりますので、
屏風は使いません。
また、風呂先に
作り付けの棚が設置されている茶室でも使用しません。
風呂先屏風のサイズ
基本となる利休型の風呂先屏風の高さは
二尺四寸(約73cm)、近年は小ぶりの
一尺八寸(約54cm)のものも増えています。
幅は畳の幅に合わせる必要があるので、
注意が必要です。
和室の畳の大きさは、地域や時代によって異なり、
様々なサイズのものがあるのです。
京間といわれる和室の畳の幅は
三尺一寸五分(約95.5cm)、
江戸間の場合は二尺九寸(約88cm)、
団地間は二尺八寸(約85cm)です。
お使いになる茶室の畳の幅を確認してから、
その幅に合う屏風を探すべきでしょう。
風呂先屏風の種類
もともと、利休形とよばれる鳥の子白張が基本ですが、
代々の家元や茶人によって好みものが生まれました。
腰襖にして、上部を枠だけにして
軽やかな雰囲気を醸し出したものもあります。
霞引きや板に透かしを入れたものは
風呂の時期に使います。
夏の盛りには「よし」で作ったものも、
涼やかでよいでしょう。
また、
富士山などの華やかな
絵柄が大きく描かれたものも見られます。
ただし、屏風の近くが点前座なので、
抹茶やお湯が何かのはずみにはねたり、
炭が爆ぜたりして、汚れがつくという可能性も考えられます。
その為か、
1点ものの高価な絵画を貼り付けたような屏風は数が少ないように思います。
まとめ
改めて、茶会の席での風呂先屏風の選び方、使い方をまとめると
1)まずは、お部屋の大きさと間取りをみて、必要かどうかを判断する。
2)畳の幅を確認し、それにあう屏風を選ぶ。
3)お点前の道具を考えて、その道具が映え、また季節に相応しい屏風の絵柄を選ぶ。
(もちろん、華やかな屏風なら、そちらを主役にして、
茶碗や水差しが引き立て役にまわるという取り合わせも考えられます。)
最後に
道具やお点前の所作にばかり目がいき、
点前座の奥に設置される風呂先屏風は、
つい、ゆっくり拝見しないで終わってしまっていた
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私は、そそっかしいので、つい屏風を見落としがちです。
これを機会に、
広間のお茶会に招かれたら、
じっくり風呂先屏風も拝見してみてください。
新しい発見があるかもしれませんね。
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