お茶を一服頂く際、円滑に進行する為に、
亭主と客は決まったタイミングで
挨拶のフレーズをお互いに述べます。
このフレーズは、簡潔ながら
思いやりを感じる美しい言葉です。
慣れないうちは、決まり文句として
暗記してしまうことが多いのですが、ぜひ、
日常の生活でも使いこなしたいものですね。
茶会の中で、どんな美しい言葉をやりとりするか、
取り上げてみましょう。
「結構なお席にお招き預かり」
まず、茶席に入ると、亭主と挨拶を交わします。
まず、客は「結構なお席にお招きに預かり、ありがとうございます」
と招待に対して簡潔に礼を述べます。
挨拶は本題に入る前のプロローグですから、
だらだらと話すことは避けましょう。
「お招きに預かり」「ご一緒させていただき・・」といった、
簡潔な挨拶の言葉を日頃から準備しておくと、
様々な場面で役にたつでしょう。
「お服加減はいかがでしょうか。」
濃茶を正客が一口飲み終わった際には、
亭主から「お服加減はいかがでしょうか。」
と尋ねます。通常は、「結構なお服加減で・・」
と返答して続きを飲みますが、
万一、味が悪かった場合は、
亭主はその場で濃茶を立て直します。
もちろん美味しいお茶を懸命に点てるわけですが、
お客様の感想を尋ねて味を確認する所に、
日本的なおもてなしの心を感じます。
「お先に」
濃茶・薄茶では自分が一服頂く前に、
次の客に対して「お先に」と挨拶します。
この「お先に」こそ、
日頃の生活で使いたい言葉です。
例えば、お店のレジで
長い時間順番待ちをしたような時に、
列の次の人に「お先に」と声をかけてみましょう。
長い時間待たされてちょっと不機嫌になっていても、
その一言で気分が明るくなるかもしれません。
「お相伴いたします」
薄茶が届くと、前の客に対して
「お相伴いたします」と一言伝えます。
「もう一服いかがでしょうか」
と尋ねることもあるようですが、
私は「お相伴いたします」
と言う方が自然な気がします。
亭主がせっかく自分の為に
点ててくれたお茶ですので、
人に譲るよりは、自分でありがたく
頂戴するべきなのではないかな・・
と思うからです。
「お相伴」とは、主となる人に従って
同じもてなしを受けること、
同じ行動や経験をすることという意味です。
「お相伴いたします」は、
正客のおかげで
貴重なおもてなしを受けますという意味で、
亭主にも正客にも感謝を述べる
素晴らしい言葉だと思います。
ぜひ、日頃の生活でも使ってみてください。
会食やパーティにご招待された場合などには、
ぜひ、主賓に「お相伴に預かり、ありがとうございます」
と伝えてみましょう。
「お点前頂戴いたします」
お茶を頂く前には、亭主に対して
「お点前頂戴します」と挨拶します。
日本では食事の前に「いただきます」と挨拶しますが、
欧米諸国では特にこのような挨拶はありません。
「頂戴します」と最初から感謝の言葉を述べることは、
素晴らしい慣習であり、
たいへん美しい言葉だと思います。
これからも様々なシーンで
積極的に使っていきたい挨拶ですね。
基本は褒め言葉
茶会で慣習的に使用される言葉を挙げてみましたが、
これらは必要最小限のものです。
心に残るような茶会は、
亭主と正客の間で会話が弾み、
連客も楽しい時間をともに過ごします。
素敵な雰囲気を作り出す為に、
茶会では、積極的に相手を褒めましょう。
褒められて嬉しく感じない人はいません。
亭主のお点前を褒めたり、
お道具のすばらしさを褒める。
但し、言葉に心がこもっていなければ、
却ってしらけてしまいます。
見たままを素直に表現し、
素晴らしさを伝える語彙を
豊富にしておきたいものですね。
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