茶道とは?
茶道を習うという事を、ただ『お茶を点てる…そして飲む』
とイメージされている方も多いのでは?
もちろん、お茶を点てる・飲むのが、
茶道のお稽古を占める重要な部分ではありますが、実際それだけではありません。
美術・書画・生花(花の生け方も含む)・茶室建築/造園・懐石料理/菓子等、多岐に渡ります。
茶道は非常に季節感を大事にします。
季節の花を生け、季節感のある道具を使い、
『夏は涼しく・冬は暖かく』といった事を、客が感じ取れるよう、心配りをします。
また、客をもてなす際には、
塵一つにまで気を配り、茶室はもちろん庭の掃除も欠かせません。
そして客は、そういった亭主(茶席の主催者・お点前をする人)の
心配りや趣向を一緒に楽しむ、といった事も大事になります。
お点前とは?
お点前(てまえ)とは、亭主が客にお茶を点てる一連の動作を言います。
お稽古で大部分を占めるのが、お点前の反復練習です。
茶道で覚えることは、多種多様…
数えきれない程あり、茶道の世界では
『一生現役』、常に学ぶ事があると言われるほど、奥の深いものです。
茶道を習う上で、亭主としてのお点前(作法)、
客としての作法、これら二つを学ぶ事が大事になります。
茶道の醍醐味は、
『客に、美味しいお茶を点てて差し上げる』、おもてなしです。
本や動画を見て、流れや作法を頭に叩き込むものではなく、
五感をフルに活動させ、少しずつ体で覚えていくものとされています。
お点前の大まかな流れは、以下の通りです。
・水屋(準備・片付けをする場所)で準備をし、入室
・ 道具を清め、温める
・お茶を点てる(客の数によって、数回点てる場合もあります)
・道具を清め、片付ける
・退出
茶道の動作には、全て意味があります。
例えば、お点前では『清める』動作が非常に多いです。
これは、客に『安全なお茶を出していますよ』ということを示しています。
そして、亭主もこの動作を通し、自身の心を清めることにも繋がります。
また、道具の扱いでは、『畳を擦らせながら道具を移動させない』
『大切な物は左手を添える』等、
これらは道具を丁寧に且つ大切に扱うための動作です。
道具を置く位置・扱い方に至るまで、全てにおいて無駄な動きがなく、
経験を積んだ人ほど所作はスムースで、お点前は流れるように美しいです。
ただ、茶道の初心者の方に、
いきなり点前の一連の動作全てをお教えすることはありません。
こんな事を言うと、『じゃあ、何から始めるの?』と思われるでしょう。
それは、『割稽古(わりげいこ)』というものからはじまります。
割稽古とは?
割稽古とは、お点前をする上で必要な一連の所作の最も基礎となる
重要な部分を細かく段階を経てお稽古していくことを言います。
流儀によって、作法や所作は異なりますが、
お稽古する内容に大差はまず見られないです。
・帛紗の扱い、付け方
・帛紗の捌き方
・ 茶器(棗)の拭き方
・茶杓の拭き方
・ 茶筅通し
・ 茶巾の扱い、たたみ方
・茶碗の拭き方
・ 柄杓の扱い方
・お茶の点て方
これらは、実際にお茶を点てるにあたっての所作になりますが、
これ以外にも立ち居振舞いや、客としての作法もお稽古します。
・立ち方
・座り方
・歩き方
・お辞儀の仕方
・襖の開け方・閉め方
・席入りの仕方
・釜、床の拝見の仕方
・扇子の扱い方
・お菓子の頂き方
・薄茶の頂き方
・茶器、茶杓の拝見の仕方
割稽古をある程度の期間した後(期間については、生徒さんの習得スピードや、
先生の考えに基づくもので、決まった期間が定められているわけではありません)、
一連のお点前を一通りやっていく流れになります。
割稽古を習得してはじめて、これから先様々なお点前をする
スタートラインに立てると言っても過言ではありません。
お点前の種類は、どのくらいあるの?
割稽古だけでも、ざっと二十種類程ありますが、これはほんの序の口にすぎません。
使う道具や男女によっても、お点前は異なります。
はじまりは、亭主として薄茶の一服を点てる…そして客として一服を飲むことから。
そこから、炭点前・濃茶(字の通り薄茶とは逆で、濃いお茶)の点て方/飲み方等々、
長い年月をかけて上の段階へと進んでいき、その数は数十種類に上ります。
更に、各流派によって定められた修行課程に応じて、
家元から免状(流派によって呼び名は異なります)が授与されます。
これらの免状は、ある程度の期間お稽古を積み、
その都度必要な教課を習得した者に与えられる証書になります。
しかしながら、茶道のお稽古はお点前の習得だけではありません。
懐石(茶料理)の作り方、その懐石料理とお茶を組み合わせた
『茶事』での客のもてなし方、道具の知識・扱い方、
灰の作り方、茶花について等々、数限りなくあり、
先に述べた様に、『一生現役』この言葉に尽きるかと思います。
コメント