和のお稽古事は、「礼に始まり、礼に終わる」と言われますね。
茶道も、最初と最後はもちろん、都度、お辞儀とともに、
礼の気持ちを伝えます。
正しくてきれいなお辞儀の作法は、普段の生活でも役に立ちますので、
是非、身に付けましょう
美しいお辞儀の土台は正座
現代の生活では和室が減った為、普段、正座をしてお辞儀をする
機会はほとんどないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
先日、法事で親戚がお寺の広間に集まりましたが、
挨拶の際、孫世代が慣れない姿勢でペコリとしたお辞儀なのに対し、
老年世代はゆったりとしたキレイなお辞儀を見せてくれました。
どこが違うのだろう・・と観察したところ、
老年世代は背筋がすっと伸びて、正座の姿勢に安定感があるのだなと
気が付きました。
美しい正座の姿勢がお辞儀の土台になっているのです。
きれいな正座を身に付けよう
正座をしたら、両ひざの間は、こぶし一つくらいあけます。
そうすると、かかとが自然と外側に開いてその間にお尻が乗り、
安定感が生まれ、しびれにくくなります。
そして、おへその下に力を入れ、腰は伸ばして胸を張り、
顎をひきましょう。
腰が曲がり、重心が後ろ=足の上にかかると、しびれやすくなります。
重心を膝の方向に移すように意識するとよいでしょう。
茶道のお辞儀は、真・行・草
茶道のお辞儀には、真・行・草があり、タイミングで使い分けます。
点前の区切りでは一般的な「行」のお辞儀、
茶席に入るときや、おしまいの挨拶は、
深々と頭を下げる「真」のお辞儀をします。
亭主が、片手に道具を持っている時など、
指先を軽くつくだけの「草」のお辞儀になります。
お辞儀の作法
一般的なお辞儀は、両手を膝の前の畳に「ハ」の字において、
上半身を静かに30度ほど前に倒します。
頭だけを下げず、脚の付け根から上半身を傾けるように、
目線は少し先に置きましょう。
頭を下げた時にお尻が持ち上がり、デングリ返しをしそうな姿勢になる方がいます。
腰はそのまま、足の上に残してください。
頭を上げるときは、ゆっくりと体を起こしましょう。
素早くヒョイと顔を上げる人がいますが、
せっかくのお辞儀が雑に見えてしまいます。
頭を下げる時と同じくらい、あるいは、もっと時間をかけるつもりで、
頭を上げていきましょう。
「真」のお辞儀は、流れは一般的なお辞儀と同じです。
その上で、手の平をしっかり畳につけ、上半身を60度前方に倒します。
目線は、両手の上あたりに置きます。
「草」のお辞儀は、亭主が道具を持っている場合などに行います。
空いている手を膝かしらにすべらせて、指先を軽く畳につけ、
会釈をします。
立ったままお辞儀をする場合
和室では、正座をしてから、お辞儀をします。
茶道でも、ほとんどの場合は正座でのお辞儀ですが、
腰掛けなど外にいる時や、茶室から外へ退出した際など、
立ってお辞儀をすることもあります。
背筋を伸ばし、指を揃えた両手を足のつけ根に「ハ」の字に置いて立ちましょう。
お辞儀は、背筋を伸ばしたまま、上体を倒し、
手が膝上のあたりに来たら頭を下げます。
女性の和装の場合は、帯を付けているので、背筋を伸ばしたお辞儀が自然とできますが、
洋服の場合、お尻だけが飛び出たり、腰が丸まった姿勢になりがちです。
注意しましょう。
お辞儀は相手を敬う心から
茶会に出向くと、時に、とてもあっさりとしたお辞儀や、
妙に形式ばったお辞儀の方がいらっしゃいます。
「決められた作法だから」という意識が、表に出てきてしまっているようです。
お辞儀は、相手を敬う気持ちや感謝の気持ちを表す表現です。
心がこもっていなければ、いくらキレイな姿勢でお辞儀をしても、
相手に伝わりません。
お辞儀をするときは、まず、相手を見ること。
そして、心の中で
「よろしくお願いします。」「ありがとうございます」
とつぶやくことを、日ごろから心掛けましょう。
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