今回は、茶道の作法についてお話しします。
筆者が師事する先生がいわれる事には、
そもそも茶道の歩き方、所作(しょさ)、
作法とは茶道だからということは本来なくて、
日常生活でも茶道においても、同じ気持ちで、
同じ動きができることこそが、茶人のあるべき姿なのだそうです。
そしてその根底には気配り、心配りがあります。
無論、簡単には実行できるものではありませんが。
まずは作法をひもときましょう
「作法」の意味を辞典で調べてみると
- 物事を行う方法。きまったやり方。きまり。しきたり。
- 起居・動作の正しい法式。
- 詩歌・小説などのきまった作り方。
- 仏事を行う法式。葬礼・授戒などの方式
が検索されました。
これを茶道に当てはめてみるとどうでしょうか。
「動作の正しい方式」というのが、とても響きませんか?
動作の正しい方式、すなわち無駄のない
美しい動作をするということが、茶道、
ひいては日常生活の作法全般ではないでしょうか。
それに加えて心配りは忘れてはいけませんね。
茶道の作法がすんなりできないと、
日常生活がいかにていたらくか、ばれてしまいます。
茶道の作法と一言にいっても、事細かにありますので、
今回はお茶席において忘れがちな、
客人の作法に絞り込んでお話をしたいと思います。
お茶を飲む前
- 茶碗を傷つけないためにまた、
亭主に対して時間を気にするのは失礼にあたる
という意味もあり、腕時計は席入りの前に外します。
- 畳は半畳3歩で歩き(表千家の場合)ましょう。
畳のへりは踏まないように。
- お菓子が回ってきたら、自分の次に座っている客人に「お先に」のお辞儀をします。
それから亭主に「頂戴します」のお辞儀をして、自分の懐中から懐紙を出して、お菓子をとります。
まずはお辞儀することを覚えておきましょう。
- 薄茶の干菓子の場合
複数のお菓子が供される時がよくあります。
その場合は、一つづつ全種類取ります。
お茶を飲むとき
- 茶席では亭主と正客だけが話をします。
その2人の問答で、その日のお茶、お菓子、
道具について由緒が明らかになり、
あとで道具を拝見する時の助けとなります。
また亭主の客に対する心配りがわかります。
- 釜からの湯気、音そして燃えたお香の香り、
茶碗に注がれたお湯の音、
茶筅でお茶をたてる音など、
静寂であるからこそ味わえる音の楽しみです。
客人同士のおしゃべりはいけません。
- 茶碗が自分に回ってきたときは、
上座の客人へ「もう一服いかがですか」、
自分の次の客人に「お先に」とお辞儀をする。
同席者への心配りです。
- お茶を飲むときは、まず茶碗を二度まわして(表千家の場合)
正面ははずすこともお忘れなく。
茶碗を差し出されたときには、
茶碗の正面は自分の方を必ず向いています。
茶碗の正面を客人に向けるのは、
亭主の心配りなので、客人の方も茶碗を大切にする意味で、
正面をさけて口をつけるのです。
お茶は一息に飲まず、
二度か三度に分けて飲むのがよいとされています。
道具を拝見するとき
- 自分と上座の客人の間に道具がおかれたら、
自分の次の客人に「お先に」とお辞儀をした後、
自分の前に動かします。
道具は右手で取って、
左手を添えて動かす場合がほとんどです。
左手を添えるのがポイント。
道具を大切に扱うためのアクションです。
背中を丸くして、低い位置で拝見しましょう。
道具を高く持ち上げるのはいけません。
拝見が終わったら自分と次の客人の間に道具をおきます。
- 拝見する道具は複数あり、
正客から順番に回ってきます。
先に拝見した道具を誰が見ているか、
次に拝見する道具はどこにあるかを気にします。
あまり早くまわすと、次の客人をせかす事になりますし、
だらだら長く見ているのもよくないので、
道具をまわすよりよいタイミングをはかりましょう。
これも気配りです。
字面では難しそうと思われるかもしれないし、
茶道デビュー時には何がなんだかわからず、
何をやったかも覚えてられないものですが、
習うより慣れよということもありますので、まずは体験してみましょう。
そのうちに「いってたのは、これか!」と思い当たるときが必ずきます。
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