前回でも簡単にお話ししましたが、
今回は茶道初心者のお稽古道具についてお話します。
まずは復習からです。
初のお稽古にあたり、若葉マークの初心者が、
最初の稽古に持参するようにいわれるものがあります。
扇子、帛紗、懐紙、菓子切りを懐紙入れに入れて用意というのが表千家の場合です。
加えて古帛紗、小茶巾、小茶巾入れも必要な流派もあります。
これは必要最低限な茶道のお稽古道具といえますが、
茶道でどのような役割があるのでしょうか、一つづつ見ていきましょう。
扇子
茶道具としての扇子は15cmほどの小さな物で、
お辞儀をする時や、床の間を拝見する時、前に置いて使います。
ここで興味深いのは、茶道では扇子で仰ぐということはしません。
ですから広げて使うことはほとんどありません。
もっとも広げても小さいので、仰いでもたいした風を起こす事もできませんが。
茶道に限らず、本来お辞儀をするときは扇子を前に置くのが正式ですが、
今は畳に正座してお辞儀をする機会がきわめて少ないため、ご存知ない方も多いでしょう。
女性用と男性用があり、男性用の方がやや大きめになっています。
帛紗(ふくさ)
約29cm四方の絹でできた2枚重ねの布です。
お点前をする人は腰に挟みます。
濃茶をいただくときに、亭主の出し帛紗と入れ替えて、
手のひらにのせ、その上に茶碗をおいて抹茶を飲むときに使います。
帛紗の色は流派によって違います。
女性の場合表千家は朱、裏千家は赤、武者小路線家は朱です。
男性はいずれも紫。
しかしながらこれは原則論ですので、
流派に関係なく好きな色を使ってもよいことにはなっています。
懐紙
懐紙は懐に入れて携帯する小ぶりの和紙です。
茶事や茶会で出されるお菓子を取り分ける際、皿代わりに使います。
また、薄茶では飲み終わったあと、茶碗の飲み口を指で拭って拭き、
懐紙で指を清めます。
濃茶の場合は、懐紙で飲み口を拭き取ります。
お菓子を食べきれない場合は、懐紙に包んで懐にしまいます。
透かし模様や色のついた模様入りのものもあり、種類がたくさんあります。
菓子切り
菓子切りとは、茶菓子を頂く時に使われる茶道具の事で、
一般家庭で言う所の、つま楊枝兼ナイフです。
菓子切りには黒文字と呼ばれるものから象牙、金物など
いくつか種類がありますが、通常のお稽古ではステンレス製のものが使われます。
懐紙の束の間に挟んでおいて、
必要なときに菓子切りのいれものから取り出して使います。
懐紙入れ
帛紗挟み(ふくさばさみ)ともいいます。
茶道の稽古や茶席において必要となる小物を一まとめに入れて携帯する袋の総称です。
茶道具以外に化粧用品やチケットなどを入れて ポーチ代わりとしての用途も見られますね。
その場合には厳密には懐紙入れとはいわないですけど。
懐紙入れは比較的小ぶりの物を指し、
三つ折り・つづれ・二つ折り(利休型)などに分類されるが、
いずれも用途は同じです。
男性用がやや大ぶりで寒色系、女性用がやや小ぶりで暖色系などの違いはあるが、
形や使い方の違いはほとんどありません。
以上の道具があれば、はじめの一歩には十分です。
どこで購入すべき?
購入場所がわからない。
という方も多いと思いますが、そんな方はデパートの茶道コーナーや
茶道具専門店(独自インターネットショップを運営している場合多数)、
あるいはインターネットショップである
Amazonに出店している徳望庵さんでも購入できます。
安いものも種類が豊富で、高いものはどこまでも高いものですが、
一生一つの稽古道具を使う訳ではありませんので、
最初は合計2000円くらいが目安でよいと思います。
余談ですが・・
お稽古道具は、稽古を続けていくにつれて、自分の好みがわかってくるので、
変えていくものなのですけど、例外は懐紙ですね。
懐紙というのは、茶道の世界では、ちょっとしたお礼などにあげる事、
もらう事とも多いので、お稽古を続けていけばいくほど、
自分の為に新しい懐紙を買う事が少なくなります。
趣味のよい、透かし模様の懐紙をもらった時はうれしいものなので、
他の方に差し上げる懐紙を選ぶときは熟考します。
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