茶室の天井の高さの秘密
茶室の天井に注目するのは、
ちょっとニッチなのかもしれないと思います。
いろいろと工夫や想いが含まれている茶室は、
天井の高さにも意味を持っている
のではないかと気になったので、
少し調べてみました。
茶室には、小間と広間と
大きく分けて二つの種類があります。
小間は四畳半未満の茶室のことであり、
広間は四畳半以上の茶室のことであります。
天井に工夫があるのは、
広間よりも小間が多いそうです。
天井の高さは、茶室という空間をつくるにおいて、
小さい部屋をいかに広くみせるかという部分や、
亭主とお客様の関係を視覚的に表現する
という部分で工夫されていたようです。
茶室の天井のいろいろ
天井の構成は、
平天井(ひらてんじょう)
落天井(おちてんじょう)
掛込天井(かけこみてんじょう)
などがあります。
これらの形式が色々に組み合せられ、
それぞれの個性を産み出しているようです。
平天井(ひらてんじょう)は、
天井面が水平になっているものをいいます。
落天井(おちてんじょう)は、
平天井に高低をつけた
二段造りとなっている場合の、
低い方の天井のことであり、下り天井ともいいます。
これは、
点前座に用いることが多いと言われています。
客座に対して、
点前座を一段低くすることで下座をあらわしています。
また、光が強く入るという点でも優れていますね。
京都の聚光院の茶室で、
この落天井を見ることができます。
掛込天井(かけこみてんじょう)は、
庇(ひさし)が室内に貫入して、
屋根裏の構成を室内に見せ、
傾斜天井となっているものをいいます。
垂木(たるき)の上に木舞(こまい)を配列し
裏板が張られるという屋根裏を
天井に見立てたものです。
斜面が加わることにより
室内に高さをつくり出しています。
冒頭にも書いたように、
天井は、
空間の工夫や演出に活用されたことが、
それぞれの天井の説明からもわかりました。
有名な茶室の天井の高さを比べてみると…..
三千家、それぞれの茶室の天井の高さの違い
をみてみました。
1尺は約30cm、
1寸は約3cm、
1分は約0.3cmです。
表千家の“不審庵”は、
平天井5尺8寸1分(176.06cm)
裏千家の“又隠”は、
平天井5尺8寸5分(177.27cm)
武者小路千家の“官休庵”は、
平天井6尺1寸(184.84cm)
現代の一般家庭の天井と比べてみると、
一般家庭の天井の高さは
約240cmがほとんどのようで、
60cmくらい差があります。
またどの流派も、
cm単位に直すことによって、
ほとんどが男性の身長くらいである
ことがわかりました。
それならば、
利休の身長に関係するのではないか?
また、当時の人はどれくらいの身長だったのか?
と気になったので調べてみました。
千利休の身長は180cmと言われ、
豊臣秀吉は150~160cmと言われていたようです。
秀吉の身長が低いのにびっくりしました。
武者小路千家は184.84cmと、
千利休より高いですが、
裏千家と表千家は、少し小さいです。
成人男性がまっすぐに立てないくらいの、
頭が天井に当たることを
注意しながらでないと歩けないように
設計されているのかもしれません。
このようにお茶道の世界では、
天井の高さ1つとっても
様々な工夫がされていることがわかりました。
例えば天井の高さを変えることで、
お客様に対して亭主がへりくだることを表せること。
また、茶室にはいる光の量を調節できる
といったことなどです。
ただかっこよく見せるだけでなく、
茶室の創り手のちょっとしたこだわりを表現する
1つの要素となっていた天井だからこそ、
様々な高さや種類が産まれたのだと思いました。
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