茶道と畳は切っても切れない関係ですが、
その茶室の畳にはそれぞれ名称と意味があるってご存知ですか?
もし知らないでいると、とんでもないところに踏み込んでしまっているかも・・!?
というわけで、今回は茶室の畳の名称や寸法についてお話します。
茶室の畳は、どのように区切られているでしょうか
基本的に茶室は四畳半。北には床の間を置きます。
四畳半とはよく聞くものの、四畳と半分の畳のそれぞれに
大切な役割・意味まであまり意識してない人もいるかもしれません。
畳には決まった寸法があります
実は畳の大きさは関西と関東で違いがあります。
茶道では京間という規格の茶室が基本ですが、
それは6尺3寸(191㎝)×3尺1寸5分(95.5cm)
の大きさの畳で敷きつめられています。
関東間が5尺8寸(175.8cm)×2尺9寸(87.9cm)の畳なので、
それに比べると大きい畳ということがわかりますね。
建物を建てる時の柱間の長さの測り方が関東と違うのでこのようになりました。
四畳半の茶室の畳にはそれぞれの名称がある!
それではそれぞれの畳の名称についてみていきましょう。
茶室の真ん中に炉が切ってあります。
この炉のある畳は半畳で「炉畳」といいます。四方をそれぞれ一畳の畳で囲まれています。
さて、その炉畳を中心にして考えてみると・・
茶道のお稽古では、まず畳の縁の外側に正座をし、
お辞儀をして踏み入ります(その入り口は茶道口です)。
その、入口の畳、きちんと場所が決まっています。
その名も「踏込畳(通い畳とも言う)」!
つまりその畳が茶室に入る最初の畳であり、その他の畳から入ることはありません。
方位は床の間の北に対し、南に位置します。
道具が置いてあり、お点前をする畳は
「道具畳」「点前畳」と呼ばれます。炉畳の西側に位置しています。
床の間の前の正客が座る北の畳が「貴人畳」
次客以下が座る畳が東に位置する「客畳」
このように四畳半の茶室の一畳ごとにそれぞれ名前と方位がきまっているのです。
陰陽五行の思想に基づく茶室の畳
お茶の風習は中国から禅の文化とともに日本に入ってきました。
当時の茶人は禅院で仏道の修業をしており、
儒学に必要な四書五経行(ししょごきょう)を学んでいました。
悟りを開いた禅僧は「宗」という時の名前を授けられます。
利休の宗名は「宗易(そうえき)」です。
この「易」の思想が茶道に大きな影響を及ぼしているのです。
五経の一つである『易経』の易という学問は、陰陽五行の元となったものです。
茶室の四畳半には陰陽五行思想が組み込まれています。
陰と陽、中庸
茶室は大きく分けて「陰」と「陽」に分けられます。
亭主は北を向いて北西の位置で点前をしますが、ここは「陰」にあたります。
真ん中の炉畳は陰と陽の「中庸」となり
、客は東南の位置に座り、ここは「陽」とされています。
例えば、「貴人畳」ではほぼ「陰」に位置するものの、正面から「陽」の光を受けます。
さらに詳しく見てみると、「貴人畳」はこのようになります。
五行では水
方角では北
季節は冬
色彩では黒
五常では智
五行説の季節、方角、色などをあてはめたのがこれです。
それぞれの畳に名称があり、そこに座って思索することができるのが四畳半の茶室といえるでしょう。
茶室のいろいろ
茶室は四畳半より狭いものを小間(こま)の茶室、四畳半よりも広いものを広間の茶室といいます。
広間には普通の座敷のように広くて、縁がついていたり、棚や付書院も設けられるのに対して、
小間の茶室には台子のような棚物を全く置きません。
床のみが飾りの場所となり、出入り口も狭くなっています。
四畳半という狭さ、ほの暗さは心と心を通わせる親密性をもたらします。
この決して広くはない空間に、陰陽五行思想をあてはめた畳が敷きつめられていることを知れば、
稽古で座っている畳にも、あらためて茶道の精神性の深さを見ることができそうですね。
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