茶道を本格的に習っていく上で、
資格の取得は必要不可欠になってきます。
茶道は、学び手の段階によって、
お稽古出来る内容が限られています。
上のお点前をするためには、
まず師事している先生からの許可(推薦)を頂き、
家元に申請し、許しを得てから、
はじめて次のお点前(お稽古)に進むことができます。
上のお点前になるにつれて、点前はより複雑になり、
道具の扱いも難しくなっていきます。
お点前はもちろん、客としての作法も高度なものになります。
流派によって呼び方が様々ですが、
茶の湯の世界で『資格』と言うのは、
許状・免状、又は免許状・相伝免状などと呼ばれています。
表千家では『相伝』、裏千家では『許状』の名で、
正式には呼ばれています。
このように、普段私たちが生活の中で使う、
『資格』とは少し意味合いが違います。
茶の湯の世界では、資格というのは、
『上級のお稽古を習うための許しを得た証明』であり、
『特定の修行課程を終了した』と言った証明にはなりません。
今回は、表千家と裏千家の資格について、
どのような種類があるのかをお話していきます。
『表千家』相伝の種類
1.入門(にゅうもん)
2.習事(ならいごと)
習事は習事8箇条と言って、
茶筅飾(ちゃせんかざり)
台飾(だいかざり)
組合点(くみあわせだて)
仕組点(しぐみだて)
長緒(ながお)
盆香合(ぼんこうごう)
花所望(はなしょもう)
炭所望(すみしょもう)
からなっています。
3.飾物(かざりもの)
飾物は飾物5箇条と言って、
軸飾
壷飾
茶入飾
茶碗飾
茶杓飾
からなっています。
4.茶通箱(さつうばこ)
5.唐物(からもの)
6.台天目(だいてんもく)
7.盆点(ぼんてん)
『裏千家』許状の種類
裏千家は、許状の他に『資格制度』を設けており、
これによってどの習熟度(レベル)に達しているのかを、
初級~助教授の6段階で明確にし、
履歴書などに記載した場合に
理解を得やすいように、配慮が汲まれています。
また、裏千家のサイトを見ると分かりますが、
海外でも活動を広げている裏千家は、
外国の方にもレベルが分かりやすいように、
英語でも資格の表記をしています。
初級
1.入門(にゅうもん)
2.子習(こならい)
3.茶箱点(ちゃばこだて)
中級
1.茶通箱(さつうばこ)
2.唐物(からもの)
3.台天目(だいてんもく)
4.盆点(ぼんだて)
5.和巾点(わきんだて)
上級(助講師)
1.行之行台子(ぎょうのぎょうだいす)
2.大円草(だいえんのそう)
3.引次(ひきつぎ)
講師
1.真之行台子(しんのぎょうだいす)
2.大円真(だいえんのしん)
3.正引次(せいひきつぎ)
専任講師
1.茶名(ちゃめい)
助教授
1.準教授
表千家・裏千家共に、
それぞれの相伝・許状を申請の際には、
師事している先生を通してすることになります。
また、次の申請をするにあたっては、
一定の期間を経てからでないと
申請出来ないのがほとんどです。
本来、相伝・許状を持っていない上のお点前は、
お稽古することはもちろん、見ることも許されていません。
しかしながら、一般のお稽古場では、
お弟子さんによって持っている
相伝・許状はそれぞれで、持っていないからと言って、
『じゃあ、あなたは他の部屋で待っていてね』とは、
なかなか出来ないのが多くの場合です。
このような場合、
見ることは致しかたないのも実情です。
多くのことを学ばないといけない茶道の世界は、
決して全てを短期間で習得出来るものではありません。
だからこそ、このような相伝・許状のシステムがあることで、
日々精進し、稽古の意欲を捨てることなく
励んでいくことが出来るかもしれません。
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