茶道のお稽古を続けていくと、
その奥深さに魅了されてもっとお茶の世界に入ってみたい、
いずれは茶道の先生になってお教室を開いてみたい、
と思われる方がいらっしゃるでしょう。
さて、茶道の先生になるためには
どんな資格が必要なのでしょうか?
学校の教職免許のように
一定の教科課程を履修して取得するものでしょうか。
茶道の先生という呼び方
先生という呼び方についてですが、
私の通っている教室では皆さん「先生」とお呼びしています。
その時の会話で「私達弟子は・・」
「あちら(違うお教室)のお師匠さんが・・」
とお話されている方がいましたので、
先生すなわち師・師匠ということです。
その師である先生が、さらに有名な先生(家元など)
についてお話されるときには、先生と呼ばずに
「家元」「宗匠」などとおっしゃっています。
直接指導を受けていたわけではないようでしたが、
私達の前で「先生」という言い方はされません。
茶道に限らず「先生」や「師匠」とれる立場になるには、
それなりの覚悟と、ある程度の期間お稽古が必要となります。
その道の「師」となるわけですから。
茶道の先生になるには免許制も国家資格も関係ない
茶道の先生となるために、
必要不可欠な資格というものはありません。
一定のお稽古に通じ、
やりたい思えばできなくもないわけです。
しかし一般的には、表千家、裏千家、
武者小路千家などのお流儀に入門して、
先生からお免状をいただいてから教室を開いたり、
学校やカルチャースクールの講師をしたりすることになります。
「先生」のレベルをどこに置くか、
ということも重要になるでしょう。
私の母がやっていた裏千家では、
「許状」というものを頂いていました。
許状とは、入門なら入門、
上級なら上級のお稽古を先生が見たうえでよし、
とされれば次の段階の稽古を「許される」、
資格のようなものです。
その中には「講師」「師範」という過程も含まれます。
裏千家ではお茶の専門学校や大学がありますので、
そういった学びの場を利用するのも
茶道の先生になるための一つの道でしょう。
個人のお茶教室で先生よりその修業内容を見ていただき、
教える立場になるだけのものがあると見込まれれば、
免状を出していただいて先生となることもできます。
いずれにしても茶道は伝承性の強い世界です。
数年、数十年という稽古を経て先生なることが多いようです。
私の叔母は20年ほどお稽古を積んで、
先生となりましたが自宅でお教室を開くのに
さらに数年かかっていました。
必要なのはひとつふたつではない!
これはお稽古に通い始めてすぐに感じたことですが、
お茶の世界には何と多くのものが要るのだろう!ということでした。
精通していなくてはならない知識だけでも半端なく深遠ですし、
お道具にしても膨大です。
お茶、茶器やその他必要なお道具、
お花、書、着物、懐石、お菓子・・・
季節によって替わるお道具は
一年に一度しか使わないものもあるのです。
実は、おそるおそる先生にお尋ねしたことがあります。
「先生、このお道具はお買いになったのですか・・」
先生は苦笑されながら、
いただきものもあるが買い揃えたものもある、とお答えでした。
正直に言って、お茶の先生になって自分の教室を開くにには
金銭力・経済力は必須です!!
ですから、お教室を開く方はお道具などを受け継いだり、
譲り受けたりすることができる人、
茶道教室をそのまま引き継ぐ人、が多いようです。
私の先生や叔母は一代で茶道教室を開いたのですが、
もちろんそういう人も少なくないでしょう。
学校の茶道教室や地域の茶道教室で講師として活躍し、
決まった教室を持たない人もいます。
また、有名な先生についてお稽古していたということも、
生徒さんお弟子さんをより多く集めるのに一役買うこともあります。
音楽の世界で○○先生に師事、
とプロフィールに書いてあるようなものです。
いずれにせよ、人を教える立場になる以上、
その過程には時間と経済力、
なによりも茶道に対する真摯な心が
最も大切なことだと思います。
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