茶道の流派について
茶道の流派は数多くあり、
その数は、驚くことに100~500程あると言われています。
茶道と言えば、多くの方が『千利休』を思い浮かべるのではないでしょうか。
千利休は、茶道の世界に多大なる貢献をした人物であり、
茶道千家流(表千家・裏千家・武者小路千家)は
利休の流れを受け継いだものです。
そして、この千家流が、
普段皆さんが最も耳にするメジャーな流派になりますが、
他にも千利休以前に創始された流派、
また千利休と同時期に創始された流派等があります。
また、武士の思想や作法を重んじた、武家(武士)茶道の流派もあります。
・千利休以前の流派
・千利休が、茶の湯を確立する以前から存在する流派
・代表するのは、奈良流・堺流・東山流
・千利休と同時期の流派
・創始者の多くが、利休の影響を受けながらも、個々の特性を活かした独自の茶風を築いた流派
・代表するのは、薮内流・織部流・遠州流・有楽流
・三斎流系
・細川三斎が始祖となり、千利休の影響を受けながらも、武士に適した独自の作法を編み出した流派
・石州流系(道安系)
・千利休の長男・道安の流れを汲んでおり、片桐石州を始祖と仰ぐ流派
茶道を代表する流派は?
先に述べた様に、今日の茶道を代表する流派は、
千利休を始祖とした千家流で、
表千家・裏千家・武者小路千家の3大です。
表千家
表千家は、千家の本家とされていますが、
門弟数は裏千家の半数と言われています。
表千家は、三井家(現在は三井財閥として有名)
と深い関わりがあり、表千家の存続の危機の際も、
三井家の後ろ盾を支えに危機を乗り越えました。
表千家は裏千家と比較すると保守的とされています。
その様子は、使う道具にも見られますし、免状の取得も時間を掛けています。
また、伝統を非常に重んじ、
お稽古重視でお点前の手順書(教本)も少な目です。
裏千家
裏千家は、現在お茶の世界で一番の規模を誇っている、最大の流派です。
日本国内はもちろん、海外にも沢山の支部を設けています。
裏千家がここまで大きくなったのには、表千家の様な後ろ盾がない中、
経済危機を乗り越えるために編み出した、
苦難の末の経営手段にあると言えます。
明治時代に経済危機に見舞われ、
存続を維持するために、教本の出版・機関紙の発行を始めました。
その後、女学校に茶道を取り入れてもらうよう働きかけ、
教育方針の一貫性を保つために講習会を開いたりもしました。
戦後は、その活動をより広げ、多くの学校茶道で裏千家は取り入れられ、
寺院・神社での献茶・供茶をするようになり、
一歩一歩と今日の規模を築く基盤を作って行きました。
学校茶道の影響は大きく、ここで興味を持った生徒さんが、
そのまま卒業後に学校で教わっていた先生に習うパターンも数多く見られます。
1872年の博覧会では、日本を訪れる外国人に焦点を合わせ、
『立礼式』と呼ばれる、椅子に座って行う茶道も考案しました。
革新的で、伝統を重んじながらも伝統に拘りすぎることなく、
時代に合わせた茶道を開拓していっているのも、裏千家の特徴と言えます。
また裏千家は、同門組織『社団法人淡交会』を結成し、
この淡交会に密着した『淡交社』から、
かなりの数の手順書(教本)が出版されています。
そのため、お茶の勉強をお稽古以外でも
気軽に出来るのは、裏千家の方が確実に有利になります。
この様に、裏千家は代々非常に積極的な経営をし、
良い意味で派手とも言えます。
その派手さは、使われる道具にも現れていて、
華やかな道具が多いのも特徴的です。
武者小路千家
三千家の中では、一番少ないお茶人口になります。
表千家・裏千家と比較すると、
武者小路千家はどちらかと言うと、表千家と似ている部分があります。
上記でお話した通り、
数ある流派の中で一番お茶人口が多いのは、裏千家になります。
今日の裏千家があるのは、
過去の存続危機を逆手に取り、乗り越えて来た証とも言えるでしょう。
ですが、お茶人口が多いからと言って、
裏千家が一番良いというものではもちろんなく、
表千家・武者小路千家、
並びに他の流派もそれぞれの良さがあることを、
皆さんには心に留めておいて欲しいと思います。
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