千利休と言えば茶道の元祖、
というイメージがありますよね。
実は千利休は茶の湯の元祖ではありません。
けれど、わび茶、という言葉は千利休とペアで聞くことがありますし、
戦国時代に織田信長や豊臣秀吉に仕えた大茶人で、
最後は切腹を命じられて非業の死を迎えた、
というのも映画やドラマでよく見るのではないかと思います。
それくらい、お茶=千利休というイメージはかなり強いものです。
私の友人のお母様がお茶の先生をされていて、
教室があると聞いたので、
とにかく茶道ってよくわからないけどやってみたい!
と思ったのでお稽古に通うようになりました。
その時は、お抹茶、利休、切腹(!)、表?裏?
などあまりに断片的なことしか頭になく、
全く無知なままお茶の世界に一歩踏み入れました。
その茶道教室は「表千家」ということでした。
切腹させられた千利休の子孫はどうなったのでしょうか?
今現在、私が習っているこの茶道はいったい誰が、
千利休の茶の湯を受け継いだのでしょうか?
千利休を祖とする三千家~表千家・裏千家・武者小路千家~
千利休には、たくさんの子どもがいました。
千利休から三代目にあたる千宗旦の三男が「表千家」を、
四男千宗室が「裏千家」を、
次男千宗守が「武者小路千家」を興しました。
現在、表千家、武者小路千家は14代、
裏千家は16代まで受け継がれて、
日本だけでなく世界中に茶道に携わる人がいます。
つまり、千利休の子孫は明らかに存在しています!
千利休の子孫の方々が、
500年にもわたって現在まで
茶の湯の伝統を受け継いでいるのです。
茶の湯は1000年近く前からありました
お茶は、元をたどれば1191年(建久二年)に
禅僧の栄西が中国・宋の国からお茶の樹を持ち帰ったことが始まりです。
お寺で発展したお茶は公家や将軍家に取り込まれ、発展していきます。
そして、茶の湯の開祖は村田珠光という禅僧です。
わび茶の精神もここから生まれたといわれています。
これを知った時、驚きました・・利休じゃないんだ!
お稽古の時、確かに先生がお茶碗の説明をされたときに
「珠光好みの・・」とおっしゃいました。
村田珠光が好んだとされる茶碗ということなのでした。
お稽古の度に「○○好みの茶筅」「○○好みの棚」と聞くにつれ、
なんと長く深い歴史の上に今のお茶があるのだろうと、感激したものです。
三千家ってどんな違いがあるの?
私が習っているのは「表千家」ですが、
私の母は若いころに「裏千家」でお茶を習っていて、
いくつかの許状を持っています。
その母と一緒に自宅でお茶をたてたとことろ、
細かい作法の違いより何より驚いたのは・・・
お抹茶が泡立っている!!
母のたてたお茶は均一に細かい泡がたち、
口に含む時にふんわりした舌触りが独特でした。
これにはびっくり!
なぜかというと、私の習っている表千家では、
泡立て禁止!だからなんです。
表千家ではお茶をたてるのに、
なるべく泡立てないように、
音をたてないように静かにすばやく茶筅を動かします。
よくドラマのお茶をたてるシーンで
「シャカシャカシャカ」って音がしますよね?
あれ、母のたてるお茶は泡立てるために
「シャカシャカシャカーッ!」
とかなりの勢いで茶筅を動かすんですよ!
つまり、ほとんどのテレビの1シーンで出てくるのは裏千家の茶道なんですね。
他にも、使う茶道具の違いや、家元の好みの違いなどがあるようですが、
基本的に茶道の心は、三千家とも同じ!
客を迎える主人側(茶道では、男女ともに亭主とよばれます)が、
お呼びした客を思い、客との一期一会のお茶の時を、
心をこめてもてなすということが、
茶道のもっとも大切なことなのです。
お茶をこれから習ってみようという方もいらっしゃるかもしれません。
茶道の専門学校や短期大学、
茶道検定などを手広く手掛けているのは裏千家です。
その意味で間口が広くて、入りやすいいイメージかもしれませんね。
実は身近なお茶の世界
お茶を習い始めてから知ったのですが、
母の姉、つまり私の叔母がなんと「裏千家」の先生だったのです!
早く教えて欲しかった・・・
遠方にいるのでほとんど会えませんが、
親戚のよしみでいろいろと教えてもらうことができたはず。
茶道具も見せてもらえたりしたらどんなに素敵だろうと、
数年前に会ったきりの頃を思い出します。
お茶の世界の裏話だって聞けたかも?
案外身近にお茶に関わっている人、いると思います。
あそこもここも、お茶に通じる?
お茶のお稽古に行くようになってから、
いろいろなものが気になって仕方なくなりました。
たとえばお花の生け方、花瓶お茶碗和菓子書、禅語
飲食店の壁に書が飾ってあったりしますよね?
誰の書だろう、どんな意味だろう、
これを飾った店主の意図は?など考えると、
もしかしてお茶をやってるのかなと思ったりします。
食器売り場の小瓶に一輪花がさしてあると、
これ、使えるかも?とじっと見つめたり。
お稽古でたまに先生が洋皿をつかって
お菓子を置いて下さったりするので、
とてもおもしろく、自分でも自宅にあるもので
水指かわりに使ってみたりして楽しんでいます。
そして、何よりも掃除!
客人をもてなすために、
まずは玄関先や茶室をきれいに清める、
これは茶道の基本中の基本です。
ふだんから自宅の掃除もそんな思いでやれば、
もっときれいになるかも・・?
息子が剣道をやっていて、
稽古の前後に道場を雑巾がけするのも大事なことの一つなのですが、
茶道と通じるものがあると思います。武道ですから。
稽古をしてもらう相手に礼をする、
ご挨拶をする、共通点がたくさんです。
こうしてみると、日本人の生活には意図せずとも、
お茶の精神が息づいているのですね。
まずはご近所の茶道教室の門をくぐってみるのもよし、
カルチャースクールで短期の茶道教室で各派の違いを知るのもよし、
奥深くて、楽しいお茶の世界への第一歩だと思います。
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