露地といわれる茶室の庭には待合があります。
茶室に入る前の待合場所のことなのですが、
この待合にはどのような役割があるのでしょうか?
茶室の庭にある待合の役割について考えていきましょう。
茶室とは
茶室とは亭主が客を招いて、もてなしのためにお茶を点てる空間のことです。
一般的には亭主がお茶を点て、
客がお茶をいただく空間だけが茶室といわれることが多いのですが、
茶室は茶室の庭(露地)も含めて茶室に付随する
建築すべてを茶室という考え方もあります。
茶室の庭(露地)には待合のほか、飛び石、
蹲踞(つくばい)、石灯籠などが配置されています。
茶室の中でも、茶室の庭(露地)について考えてみましょう。
茶室の庭(露地)にある待合
茶事では、招かれた客は座敷の寄付き(控えの間)で
身支度を整えて他の客が集まるのを待ちます。
客が揃うと、茶室の庭(露地)にある待合で待機します。
合図により中へ進み亭主の出迎え(迎え付け)を受けます。
客は蹲踞で手を清め口をすすぎ、躙り(にじり)口から茶席へと入ります。
茶事では初入りと後入りにわかれているため、
その中間で中立ちといって一度茶席の外へ出ます。
そして庭にある待合で待機し、休憩します。
その後、合図で後入りへと続きます。
簡単な茶事の流れですが、茶事における待合の役割とは、
客が亭主の迎え付けや、
中立ちのときの再び席入りの合図を待つための待合場所です。
待合には客が足を乗せる踏み石が敷かれていることが多いようです。
踏み石は、正客座に据えられた正客石と、
次客以下との相客座に据えられた相客石があります。
茶室の庭(露地)にある飛び石、蹲踞、石灯籠
茶室の庭(露地)には待合のほかに、
飛び石、蹲踞、石灯籠などが配置されています。
飛び石とは、伝い歩くために飛び飛びに据えられた平たい石のことをいいます。
客は飛び石を歩いて茶室の入り口に到達します。
蹲踞とは、茶事の時に客が席入りする前に手を清め、
口をすすぐための手水鉢と役石などです。
石灯籠とは、灯火をともすために屋外に設置される石製の灯籠のことです。
これらは待合とともに茶室の庭(露地)を構成する重要な要素です。
飛び石ひとつひとつが山をあらわし、
客が飛び石を歩いて茶室に到達するまでに
いくつもの峠を越えていくというような意味が込められているといわれています。
茶室の庭(露地)のすべての要素は機能的な役割のほかにも重要な役割があります。
世俗を離れ、清浄無垢の境地に至ることを理想とした茶の湯、
その実践の場としてある茶室。
茶室の庭(露地)には茶室への通路という機能的な役割だけにとどまらず、
茶席に入るにあたり精神的な準備をする場所、
一期一会の亭主と客の交わり、
また日常から非日常の空間へのプロローグ的空間としての役割があります。
茶室の庭(露地)を通って茶席につくまでに、
亭主の客に対する非日常を楽しんでほしいという心尽くしを感じられるのですね。
茶席に入る前から茶室には見どころいっぱいです。
茶道の精神を少しでも感じながら、ゆっくり茶室の庭を歩いてみたいものです。
まとめ
茶室の庭にある待合の役割について考えてみましたが、
茶室の庭(露地)も含めて茶室そのものが
茶道の精神を映し出しているのだと改めて感じることができました。
そこに亭主の茶事にかける思いや心づくしのおもてなし。
また、そこに客の茶事にかける想い。
いずれもかけることなく、
それらがすべてが揃って、はじめて茶道というのでしょうか。
お茶を点てる、お茶をいただくというだけが茶道ではないのですね。
茶道とは本当に奥深い文化です。
なんだか、お庭の飛び石を歩いてみたい気分です。
みなさんもお茶室に出かけてみませんか?
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